川崎市にて「ウェルフェア イノベーション フォーラム 2026」が3月2日㈪にKCCIホールで盛大に開催されました
本フォーラムは、福祉とテクノロジーの融合による社会課題解決を目指すものであり、会場内の展示室は活気に溢れ、製品体験や活発な交流が行われていました。福祉機器の開発に大切なものとはなんでしょう。当日のプログラムに沿ってレポートします。
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会場に並ぶパネルと開発機器と来場者
開催日時:2026年3月2日㈪ 13:00~17:00
会場:KCCIホール(川崎フロンティアビル2階)
目次
開会挨拶:データが示す福祉イノベーションの使命
令和7年度「かわさき基準(KIS)」認証式
講演:「テクノロジーと共創による社会課題解決へのアプローチ」
パネルディスカッション:「現場の課題を引き出し、仕組みに変える」
【付録】イノベーションの伴走拠点「川崎ウェルテック」
開会挨拶:データが示す福祉イノベーションの使命
川崎市長 福田紀彦 氏:今年で17年目を迎える本取り組みについて、これまでに301製品が「かわさき基準」として認証されてきた実績を強調しました。今回の新たな7製品を含め、当事者や現場の声を反映したモノづくりで福祉の世界を変えていく決意が語られました。

川崎商工会議所会頭 窪田雅己 氏:2024年の出生数が約70.5万人という過去最少を記録し、人口が約90万人減少している深刻な日本の現状を提示しました。その上で、川崎市が向こう50年にわたり福祉イノベーションを牽引する大きなポテンシャルを秘めていると力説しました。

令和7年度「かわさき基準(KIS)」認証式
本年度は、認証を受けた以下の企業・製品などが、表彰されました。
株式会社アリスの介護:ベッドの上で利用できる介護用洗身用具「switle-BODY(スイトルボディ)」。
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株式会社ケアウィル:車椅子利用者用晴雨(せいう)兼用ウェア、アームスリングシャツなど、当事者の声から生まれた衣類。
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ダンウェイ株式会社:障害者の就労や情報発信を支援するアプリや脳トレーニング製品。

株式会社BANDS:介助者の負担を軽減する移動式リフトやシャワーキャリー。
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講演:「テクノロジーと共創による社会課題解決へのアプローチ」
ウェルテック活動報告(東京科学大学 西田佳史 氏):Kawasaki Welfare Technology Lab(川崎ウェルテック)の取り組みとして、製品開発の各プロセスにおける多段階の検証の重要性を解説しました。西田氏の研究では対象者をその状態によって細かく分類し、複合的な科学的検証が行われています。高齢者の転倒を防ぐ「ささやかな手がかり」の評価など、安全性を可視化する独自の取り組みが紹介されました。また国も共創を後押ししていることを紹介しました。
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共創の取組に関する講演(日本総合研究所 紀伊信之 氏):2040年には認知症や軽度認知障害(MCI)の人が約1200万人に達する推計を示しました。福祉機器の開発現場には「日本の福祉製品は、2年以内で全体の8割が撤退してしまう」という厳しい現実があります。個別のニーズが強い福祉領域では、当事者の声を聞かずに作られた製品は現場に定着しないのです。認知症の人を「ケアの対象」から「モノづくりのパートナー」へと転換する「オレンジイノベーション・プロジェクト」の成果を共有し、当事者参画型の開発の必要性を訴えました。
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パネルディスカッション:「現場の課題を引き出し、仕組みに変える」
フォーラム後半では、2つのテーマで深い議論が交わされました。

① 課題起点の開発を促進する
日本総研の紀伊氏をモデレーターに、ケアウィル笈沼氏、NPO法人楽の柴田氏、産総研の北村氏が登壇しました。(写真下、左より)
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柴田氏のエピソード:かつて支援した方は、糖尿病により視力と足の自由を奪われてしまい、生活に不安を感じるようになりました。特別養護老人ホームへの入所がすぐに決まり、数十年暮らしたアパートから施設へ持っていけた荷物は、わずか「段ボール3個」だけでした。入所して数日後にこの方は亡くなられました。住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために、何が必要なのか、と切実に問いかけました。
当事者の真のニーズへの到達:製品開発において「本当に解決すべき課題」を見つけることの難しさと重要性が指摘されました。表面的な意見だけでなく、日々の生活の中にある不便さをいかに抽出するかが議論されました。
②「協力」を仕組みに変え、共創の場をつくる
後半のパネルでは、東京科学大学の栗林氏、川崎市の滝口氏、iCONMの島﨑氏が登壇しました。(写真下、左より)
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栗林氏のエピソード:理学療法士として重症心身障害児者のリハビリテーションに携わった現場経験を持ち、現在は製品の安全性研究や実証実験を担当しています。同氏は、共創における課題として「現場のニーズと企業のシーズが出会う場が限られていること」を挙げ、企業と現場の双方が相談先に迷う現状に対し、両者を繋ぐ仲介役の重要性を指摘しました。
エコシステムの構築:イノベーションを一過性で終わらせないための「仕組みづくり」が議論されました。例えば、開発者が看護師の業務に同行することで現場の解像度を上げる工夫や、産学官民が垣根を越えて集えるオープンな環境づくりの重要性が共有されました。
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【付録】イノベーションの伴走拠点「川崎ウェルテック」
福祉製品開発において、作り手と現場のニーズのズレを解消する伴走支援拠点が「川崎ウェルテック」です。最大の強みは、開発ラボと介護・リハビリ施設がひとつのビルに集約された環境です。開発者は、同じ建物内の当事者や専門職のいる「リアルな現場」でアイデアの壁打ちや実証が可能です。
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さらに、川崎市、東京科学大学、産業技術総合研究所が連携し、データ分析と現場の声を掛け合わせた無償サポートを提供しています。開発後も「かわさき基準(KIS)」の認証を通じて、市場への普及まで一気通貫で後押しする仕組みが整っています。上記で紹介した「車椅子利用者用晴雨(せいう)兼用ウェア(写真上左)」の大ヒットも、こうした共創から生まれました。
異なる立場をつなぐ「翻訳者」として川崎の技術力を福祉産業へと育てる同施設は、日本の重要なモデルケースとなっています。
【お問い合せ】
川崎ウェルテック(HPはこちら)
ウェルテックでの支援事業は、川崎市内の企業を中心に、無償で利用が可能です。まずは、お気軽にご相談ください。
電話番号 044-223-6468
メールアドレス info@kawasaki-weltech.com
開設時間 10時から16時30分まで(12時から13時を除く)
休業日 土曜日、日曜日、祝日、年末年始
川崎市(ウェブサイトトップページはこちら)
経済労働局イノベーション推進部成長産業担当
TEL 044-200-3226
E-Mail 28innova@city.kawasaki.jp
【所感】フォーラムの展示会場の熱気からも伺えるように、行政の力強いバックアップと、当事者・企業・研究機関との「共創」が川崎市で着実に根付いていることが実感できるフォーラムでした。
この取組が広まり深まって、高齢者や障害者も、より暮らしやすい社会が実現するよう願っています。
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様々なアイデアから生まれた商品の展示とアイデアを生み出すパネル展示がこのフォーラムを良く表していました
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写真:寺川健一(四肢機能障害)、 文:牛田 弘

























