突然ですが、
「何もしなくてもOK!」と言われたら皆さんは、想像できますか?
今回は、愛知県小牧市にある大規模な福祉施設「社会福祉法人 あいち清光会 『障害者支援施設 サンフレンド』」さんにお邪魔させていただきました。
社会福祉法人 あいち清光会 サンフレンド
目次
■「サンフレンド」
■「見えない境界線」をアートで埋める
■ アトリエを案内していただきました
■ アートは、社会と渡り合うための「武器」
■ 施設全体の支援のあり方について
【併せて読みたい記事】
才能は、境界を越えていく。
「アール・ブリュット3人展」が描いた、地域と福祉の新しいカタチ
■「サンフレンド」
「この子、わが子なりせば」の 親の愛を忘れることなかれ、をモットーに、 出来るだけ多くの経験や体験をしていただくことで、 自己実現を図り、一人ひとりの豊かな生活をめざします。
今回、取材にご協力いただきました、西川さんと末松 グニエ モルヴァンさん
![]() 西川 さん | ![]() 末松グニエ モルヴァン さん |
> 「アール・ブリュット」という境界線がなくなる日を信じて
家具職人の経験と家族への想いを胸に、アートを通じた支援を続ける西川さん。
「教えない、急かさない」という徹底した受容の先に、彼は「当たり前にアートが社会に受け入れられるノーマルな世界」を見据えています。
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> 共感を呼ぶ「問いかけ型」
自閉症などの特性を持つアーティストが集うアトリエ。
末松グニエ モルヴァンさんは、彼らのルーティンやペースを一切否定せず、徹底して「待つ」姿勢を貫いています。
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枠にはめない受容と安心感が、なぜエネルギーに満ちた作品を生み出すのか。その深い信頼関係の秘訣に迫ります。
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■ 「見えない境界線」をアートで埋める
西川さん:彼らが自分の才能を活かして、楽しい人生を送れるかどうか。その土壌づくりを、まさにこれから本格的に進めていきたいですよね。
多くの障害者作品の展覧会やイベントが開かれています。しかし、どうしても「障害者」と「健常者」の間に引かれた見えない境界線が、まだまだ残っているように感じます。
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高瀬: そのラインを、アートの力で溶かしていくということですね。
西川さん: はい。アートを通じて、そうした区分けを意識しない。障害があることが特別ではない、そんな「当たり前の世の中」になればいいなと願っています。

高瀬:ここは境界線がないアートの世界の中の一部だと感じます。
西川さん:これは一時的な流行ではなく、社会の価値観や「表現」への眼差しを根本から変えていく、気の遠くなるような、しかし真っ当なプロセスだと思います。100年、200年のスパンが必要でしょうね。
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■アトリエを案内していただきました。

「ここでは、何もしなくていいんです。ただ座っているだけでも、窓の外をずっと眺めているだけでもOK」そう笑って話すのは、モルヴァンさん。

> 「こだわり」を守り抜く、徹底した受容
・対象: 自閉症などの特性を持つ方々
・大切にしていること: 本人のペースやルーティン
・対応: 「こだわり」を妨げず、パニックにならないよう徹底して受け容れる

末松グニエ モルヴァンさんは「描きなさい」とは言わず、すべてを本人に任せます。
この「枠にはめない安心感」が、力強い作品を生む源になっています。
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> 「飽きない」ことが一番の仕事。アール・ブリュットが紡ぐ一歩ずつの変化
画風の変遷。それは「一歩ずつ歩む」道のり
末松グニエ モルヴァンさん: 今彼がここで取り組んでいるのは、主にこのペンを使った表現です。太い線と細い線を使い分けて描く。山本良比古(やまもと よしひこ)さんという方が、さまざまな場所を旅して、そこで尽力された姿には本当に感銘を受けました。
西川さん: 山本良比古さんはね、最初から今のような絵を描ける人ではなかったんです。指導というか、関わりの中で少しずつ変わっていった。でも、今のやり方は彼にしかできない唯一無二のものです。
高瀬: 最初は今と全然違う画風だったのですか?
西川さん: ええ、全然違いました。これは、最近流行りのポップな画風に近いスタイルですが、ここに辿り着くまで、まさに一歩ずつ歩んできた結果ですね。
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■ アートは、社会と渡り合うための「武器」
家具職人を経て福祉の世界へ入った西川さん。 言葉で伝えるのが難しい当事者にとって、アートは社会と渡り合う「武器」だと語ります。 目指すのは、障害の有無に関わらず「純粋な芸術」として認められる社会です。
陶芸工房コロナグループ「月光窯」

作業風景は、こんな感じです。

皆さん、真剣に黙々と作業していますが、明るく笑顔で穏やかな空間に包まれていました。
そして、作品数の多さにも驚きました。
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高瀬:みなさん当たり前のように、作品を作っていますけど、そこまで導いていくのは堀口さんやスタッフの皆さんたちですか?
西川:そうですね。陶芸をやる時に、面白い話があるんです。
陶芸って、中に空洞があると焼く時に爆発しちゃう、必ず空気穴を開けないといけないです。ある利用者さんは「穴を開けたくない」と言うんです。
高瀬:本人のこだわりですか。
西川:そうです。
本人の思いを尊重しつつ、見えないところから上手く空気を抜く方法を考えて工夫し「本人は穴を開けたくないから、別の方法でやろう」って。こだわりが強い方です。
高瀬:こちらの粘土を小さくちぎっている方は?
西川:今、粘土をちぎって見せていますね。「ちっちゃい、ちっちゃい」って言いながら、大きくちぎったり小さくちぎったりして楽しんでるんです。これも一つのコミュニケーションですね。
彼、メガネが好きで、人のメガネを取りたがるんですよ。全然壊したりはしないからいいんですけどね。
(確かに、いたずらっ子の眼が高瀬のメガネを狙っていました)
西川さんは言う「この子たちの笑顔を見るのが、たまらなく好きなんですよ」
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■ 施設全体の支援のあり方について
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ハタチになったばかりの方は、自分の作品を庭に並べて眺めるのがお気に入りだ。
西川:「彼らが何を欲しているか」というニーズの把握と、「こちらが何を提供できるか」という環境設定。この循環こそが、アート制作においても日々の生活支援においても不可欠な共通の仕事である。
末松グニエ モルヴァンさん:そういう姿勢がアート支援に適しているのかなと思ったりもします。
この場所の特別感と対比して感じるのは、福祉の進展と限界。虐待防止や個人尊重の流れ、障害者の雇用拡大は前進している。しかし、既存の社会システム(決まった枠)に無理に当てはめることには、構造的な限界があるのかも知れない。
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虹の絵師:故山本良比古(やまもと よしひこ)氏はこの施設のご出身
「三重苦」を超えた希望の象徴
知的障がい・難聴・言語障がいを抱えながら、恩師・川崎昂先生との出会いによって、内なる宇宙を「絵画」という言葉で語り始め、「汚れのない魂」が描く作品は、単なる美術品を超え、障がいを持つ人々とその家族に「表現の可能性」という大きな光を与え続けている。
見学を終えての感想
自由と個性を尊重し、1人1人が明るく、笑顔で作業していたところが衝撃を受けました。1枚の絵や1つの陶芸作品を完成させるのに長い時間かかるのに、飽きずに作品を作り続ける。そこには、西川さんや末松グニエ モルヴァンさんやスタッフの皆さんの強い思いがあると感じました。
今回、取材にご協力いただいた社会福祉法人 あいち清光会 『障害者支援施設 サンフレンド』」の関係者の皆様。貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。
皆さんの作品が、日本中…世界中に響き渡ることを願っています。
最後に
■ サンフレンドがめざすもの
「この子、わが子なりせば」の 親の愛を忘れることなかれ、
をモットーに、 出来るだけ多くの経験や体験をしていただくことで、 自己実現を図り、一人ひとりの豊かな生活をめざします。
【併せて読みたい記事】
才能は、境界を越えていく。
「アール・ブリュット3人展」が描いた、地域と福祉の新しいカタチ
2026年03月28日 中日新聞 朝刊 朝刊近郊版 16頁 に今回のらくゆく取材風景が掲載されました。写真は中日新聞記者伊藤純平氏による取材の様子
![]() 伊藤氏と初めて取材を受ける高瀬 | ![]() 寺川・高瀬・伊藤氏記念撮影 |
写真:寺川健一(四肢麻痺) 文:高瀬翔太(脊椎損傷)























