週刊連載エッセー 9月6日 月曜日

おととしの6月、誕生日に小さな鉢植えのぶどうの樹をいただきました。2房なっていた緑色のぶどうが、秋には薄紫色に。甘い香りで、食べてみるととてもおいしい。感激して鉢から庭の土に植え替えました。すると伸びる伸びる! 昨年は10数房を収穫。今年は24房育っています。この残暑の陽射しが、紫色に染め、甘みを増すのでしょう。夕日に輝く葉っぱが「今年も育てたよ、実らせたよ」と言っている気がしました。

実り。ふと私は何を実らせているのか考えました。
家族? 仕事? まだわかりませんが日々穏やかにやさしい気持ちで生活することが、実りに向かうような気がしました。
ぶどうの房は20センチ。美しく甘そう。

感謝して、今年の初ひと粒、いただきます。

 

・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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※8月第4週(8月23日) 長男が、大人の背丈になったとき
※8月第5週〔8月30日) 食卓を片付けながら