親子で「物語の主役」になれる場所
吉祥寺という街の真ん中で、子どもたちが初めての演劇に触れる。それが吉祥寺ファミリーシアターです。
1. 「泣いても大丈夫」な安心感

車椅子の観客や、床に敷かれたクッションマットの上に親子が座って開演を待っている劇場の様子

親子でリラックスして観劇できるようクッションマットがあります
写真はリハーサル時の様子です

黒い椅子の上に座っている、チェック柄のジャケットを着た腹話術人形のダニエルと、隣に並ぶピンク色のくまのぬいぐるみタラコ

腹話術人形のダニエルとぬいぐるみのタラコ

ここは「静かに座って見る」場所ではありません。上演中の入退場が自由だったり、泣き声も演出の一部として受け入れてくれる温かさがあります。

2. 観客が参加する「魔法の演出」

テーブルの上に置かれた円形の木製カリンバや鍵盤楽器などの演奏機材

カリンバやアコーディオンなどの生演奏を聴けます

ステージ上で「①じぇーん」「②こいーん」と書かれた画用紙を掲げ、効果音のクイズを出題して実演する4人の出演者

ワークショップは効果音のクイズで盛り上がりました

最大の魅力は、子どもたちが物語の一部になれる参加型スタイルです。
手作り楽器で応援: 小道具を鳴らし、物語を動かします。
感覚を刺激: 生演奏やプロの迫力ある演技を間近で体感し、創造力を育みます。

3. らくよう、くよう、おにんぎょう

あやめ十八番による小学生と小学生を子どもに持つ保護者のための新作 『らくよう、くよう、おにんぎょう』を初日の5月4日に見に行ってきました。
小学生のれあちゃんが人形たちとふれ合いを通して、相手を思いやることの大切さを知るというような物語でした。

黒いカーテンの舞台背景の前で、ボーダーのTシャツを着て笑顔で前を見つめる子役の佐藤つむぎさんと、その手を優しく握りながら娘を見守る大森茉利子さんの舞台写真

写真左 長田玲愛(おさだれあ)役の佐藤つむぎさん 写真右 れあのママ役の大森茉利子さん

大きな布の後ろから顔と両手を出し、巨人のように見せる出演者と、舞台左側で壊れたピンクのぬいぐるみを両手で抱えて悲しそうに立つれあちゃん

お友達とぬいぐるみのタラコで遊んでいたら壊れてしまいました

クマ柄の布から顔だけを出し、目を見開いて険しい表情で叫ぶお友達役のアップ

お友達はれあちゃんをののしります

舞台左側で青いポロシャツ姿の滝沢めぐみさんが両手を広げてダイナミックにのけぞるポーズをとり、右側でそれを見つめるれあちゃんの舞台写真

学童の職員役の滝沢めぐみさんの格好が面白いです らくようの声も担当しました

ピンクのくまの着ぐるみを全身に着たれあちゃんと、その両脇に立つオレンジ色の振袖を着た女性、そして大きな輪っかのスカートのクラシックなドレスを着た女性

お寺にタラコをくようした次の日目が覚めるとれあちゃんがタラコと入れ替わりました

れあちゃんはお寺にくようされた他の人形の身の上話に聞き入ります

人形たちが突然歌い出します 
 

舞台上で横一列に座る3人。左の和服姿の女性は真剣な表情で前を見つめ、中央のピンクのくま姿のれあちゃんは物憂げな表情を浮かべ、右のドレス姿の女性は不安そうに斜め上を見上げている様子

きれいな衣装はこの舞台のために制作されたものです

舞台左奥に設置された小さなグランドピアノの前に立ち、和服姿の女性の動きに合わせて演奏のタイミングを計る、チェック柄ジャケット姿の吉田能さん

舞台の進行に合わせてを生演奏で演出 吉田 能さん

右手に腹話術人形のダニエルを持ったまま、目と口を大きく見開いてコミカルに激しく動揺した表情を浮かべる島田大翼さんと、その後ろでアコーディオンを奏でる黒子姿の演奏者

写真左 ダニエルの声役の島田大翼さん 腹話術では有り得ない問題が発生し動揺します

和服姿の女性が、後ろを向いた子役のれあちゃんの体からピンクのくまの着ぐるみを優しく脱がせている、物語のクライマックスシーン

らくようがれあちゃんを人間の世界へ戻してくれました

公演が終了し、舞台上に一列に並んで観客に向かって穏やかな笑顔を見せる、出演者とスタッフ一同のカーテンコールの様子

パフォーマンスが終了して感動のカーテンコールです

鮮やかなオレンジ色の振袖をまとい、両手を前で重ねて上品に微笑む洛陽役の金子侑加さんのソロポートレート。後ろの床にはくまの着ぐるみが置かれている

落陽(らくよう)とコミカルな子ども役の金子侑加さん

大きな白いボンネット帽子と、裾に白いレースがあしらわれたボリュームのあるベージュのドレスを着用し、正面を向いて優しく微笑む内田靖子さんのソロポートレート

フランス人形のジャクリーヌ役の内田靖子さん 表情豊かで楽しかったです

吉祥寺シアターバリアフリー情報

道路から劇場の入り口までフラットに続く、ウッドデッキ調の平らなスロープアプローチ

道路から入口まで段差はありません

館内の黒い壁の通路。奥の左側壁面に車いすマークと男女のトイレマークが表示されているバリアフリートイレの入り口付近

入口を入ってカフェの奥の左手にバリアフリートイレがあります

手すり、背もたれ付きの便座、おむつ替えシート、オストメイト対応設備、洗面台が整った、車いすが回転できる広さのバリアフリートイレ内部

トイレ内部は広くて使いやすいです

テラスの奥にある、グレーの扉の館内エレベーター乗り場。手前の床面には点字ブロックが敷かれている

テラスの突き当りにエレベーターがあります

全面ガラス戸で仕切られたレストラン「吉祥なおきち」の外観。入り口のサッシには段差がなく、床面がフラットに続いている様子

シアター入口の左手にカフェの吉祥なおきちがあります
車いすでも入店可能です

レストランの店頭にある木製カウンター。ソフトクリームの写真付きPOPや、ドリンク・フードのメニュー表が並べられている

美味しいカレーをいただきました
癖になりそうで病みつきになる味です。

 

最後に

らくよう、くよう、おにんぎょうは、大人が見ても充分楽しめる内容でした。脚本・演出の堀越 涼さんは天才だと思います。音楽が人形の哀愁に合っていたし、生演奏も良かったです。
劇の前に行われたワークショップも面白かったです。効果音を出す、楽器や装置にも感心しました。これほどの内容でもったいないから大きい箱でやってもらいたいと思いました。小川

電動車いすの記者と目線を合わせて笑顔で話す内田さん

いつも笑顔でやさしく接してくれる内田靖子さん

ファミリーで楽しめる素晴らしい舞台でした。
「音」のワークショップをはじめ、観客も参加しながら全員で舞台をつくりあげるような演出もあり、終始楽しく観劇させていただきました。
また、吉祥寺シアターのバリアフリー面も嬉しく思いました。
この度は本当にありがとうございました!(佳山 明)

写真:小川陽一 文:佳山明・小川陽一


吉祥寺シアター

吉祥なおきち
あやめ十八番