武蔵野市にある小学校のホールでファミリーシアターのアウトリーチ公演、あやめ十八番の『らくよう、くよう、おにんぎょう』を観劇してきました。
劇場に足を運ぶのとはまた一味違う、距離の近さとアットホームな雰囲気に、開演前からワクワクが止まりません。

アウトリーチ公演とは: 普段の劇場とは違い、学校の体育館や地域のホールなどに劇団がやってくる「出張公演」のこと。舞台と客席の距離がとても近く、アットホームな雰囲気が魅力です。
今回は本番前の準備から、公演の終了までの様子をレポートします。

◯本番前

舞台美術を準備しています

立ち位置、声量、音響を入念にチェックしていきます
写真中央は学童の職員さん役と落陽の声役の滝沢めぐみさん

出演者が意見を出し合って調整しています

本番まで残り時間わずかで緊張感が伝わってきます

脚本・演出の堀越 涼氏が客席から的確な指示を伝えていきます
今回急遽ダニエルの役を担当しました

 

◯ ワークショップで心も体もほぐれる!

劇場に足を運ぶのとはまた一味違う、距離の近さとアットホームな雰囲気に、開演前からワクワクが止まりません。集まった子どもたちも「これから何が始まるんだろう?」と興味津々な様子でした。

ワークショップの始まりは効果音とオノマトペをクイズ形式で説明します

重低音の正体のクイズをしています。左からボール、コーヒーミル、空き瓶、ヤカンのどれでしょうか?

聞いたことのない重低音を出していた正体は何でしょう?

本編の前に行われたワークショップが、とにかく大盛り上がり!
テーマは「効果音とオノマトペ」です。

演者のみなさんに教わったのは、なんと「セミの声」と「笑い声」。
最初は少し照れていた子どもたちも、出演者のリードであっという間に夢中に。体全体を使って、声を出して、会場の温度がみるみる上がっていくのが分かりました。

◯ 劇中で子どもたちの「声」が大活躍!客席と舞台が一体になった瞬間

新入りのタラコに人形の世界を教えています

子どもたちは身を乗り出して物語の行方を追っていきます

写真中央は主人公・長田玲愛役の佐藤つむぎさん(小学三年生)
写真左はパパ役の吉田能(よしだたかし)さん
写真右はママ役の大森茉莉子さん

この面白い演出で頭を出しているのは玲愛のお友達であるみのりちゃん役の金子侑加さん

 

らくようが踊りながらタラコに話しかけています

写真左は落陽(らくよう)役の金子侑加さん
写真中央はジャクリーヌ役の内田靖子さん
写真右はぬいぐるみのタラコ役の佐藤つむぎさん

腹話術師がダニエルで腹話術をしています

腹話術士役の吉田能さん
音楽(生演奏)も担当しています

カーテンコールで子ども達から激励の声が飛び、出演者が笑っています

子どもの一人が「良かったよー」と声をかけると出演者さんたちも嬉しそうでした

そして始まった本編。あやめ十八番ならではの豊かな世界観に、子どもたちは素直に反応し、物語に引き込まれていきます。

見どころ(聞きどころ?)は、先ほどのワークショップの成果を発揮するタイミング!
出演者の「合図」に合わせて、子どもたちが一斉に「セミの声」や「笑い声」で劇に参加します。

自分が発した「声」が、お芝居の背景(効果音)になって物語を動かしていく。

この演出が本当に素晴らしく、合図を待つ子どもたちの真剣な表情と、合図が出た瞬間の嬉しそうな声が印象的でした。ただ観るだけでなく、「自分たちも一緒にこのお芝居を作っているんだ!」という一体感と喜びが、会場中に満ち溢れていました。

 

◯ 鳴りやまない拍手と、忘れられない「温かい時間」

子どもたちが出演者を激励しています

カーテンコールが終わり、お芝居が幕を閉じた後にも、忘れられない最高の瞬間が待っていました。

引率の先生が子どもたちに向かって、「出演者さんと握手してもらいなさい」と声をかけたのです。

その言葉を聞いた瞬間、子どもたちはいっせいに出演者のみなさんの元へ!
ギュッと握手……というよりは、嬉しさが爆発したように次々と笑顔でハイタッチ!

子どもたちのキラキラした笑顔はもちろんですが、それを受け止める出演者のみなさんも本当に幸せそうな表情をされていて、そのやり取りがとても印象的でした。舞台と客席がひとつの家族のようになった、本当にあたたかい時間でした。

「良かったよ……!」と呟いているのが聞こえてきました。

誰に語りかけるでもなく、心から溢れ出たようなその素直な一言。
難しい理屈ではなく、舞台から放たれたエネルギーや、みんなで声を合わせてハイタッチした楽しさが、しっかりと子どもたちの心に届いた証拠だと思います。
 

「らくよう、くよう、おにんぎょう」アウトリーチ公演 出演者の皆様

 

◯ 観劇を終えて

出演者の表現に触れ、自分自身も表現の一部になり、最後は肌でその温もりを感じる。子どもたちにとって、これ以上ない特別な観劇体験になったのではないかと思います。

あやめ十八番の優しくも深い世界観と、子どもたちの純粋なエネルギー、そして先生や出演者さんの愛が混ざり合った、最高のひとときでした。アウトリーチ公演を見ていた子どもが観劇にとどまらず、役者を目指すきっかけになったら凄いことですね。素晴らしい公演をありがとうございました!(小川陽一)


吉祥寺シアターの方々が大切にされている「単なる鑑賞の場にとどまらず、ワークショップを通じた『表現の場』や、公園のように自由に過ごせる『出逢いの場』にしたい」という想い。その言葉の意味が、現場にいると肌で伝わってきます。
開始前から、子どもたちの生の声を丁寧に聴きながらの掛け合いがあり、来場していたお子さんのご家族の誕生日を音楽とともにみんなでお祝いする、心温まる一幕もありました。開演前のワークショップも大盛り上がり!劇中も子どもたちの弾けるように楽しそうな様子と、感想で溢れていました。終演後にも「面白かった!」という声を聴けました。

劇を見終え満足そうな佳山記者


みんなで演劇を楽しめる空間がこれからもたくさんの場所に増えていくといいなと思います。

今回の会場となった学校は、エレベーターが設置されており、バリアフリートイレも完備。車いすユーザーなどの方も過ごしやすい点も嬉しかったです。

本当にありがとうございました!
(佳山明)

 

写真:寺川健一・小川陽一 文:小川陽一・佳山明

 

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