「ちがいをちからに変える」――その言葉の本当の意味を、私たちはどれほど理解できているでしょうか。
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホールにて開催された、一般社団法人 Get in touch 主催の舞台『月夜のからくりハウス 〜ぴーすあんどらぶ〜』。東ちづる氏のもとに集まったのは、全盲のシンガー、車いすのダンサー、自閉症のラッパー、ドラァグクイーンなど、まさに「まぜこぜ」なバックグラウンドのある唯一無二の表現者たちです。
残念ながら本公演で一区切りとなります。
境界線を溶かし、圧倒的なショーとして昇華させた舞台は、客席を強い熱気と包容力で包み込みました。誰もが自分らしく輝く共生社会の縮図を見せてくれた本公演の模様をレポートします。

まぜこぜ一座・座長:東ちづる氏とスペシャルゲスト:小林幸子氏

1. 観劇レポート:多様性が炸裂する「魅せ者ショー」の衝撃

年に一度の「魅せ者ショー」と銘打たれた本公演。東ちづる氏や三ツ矢雄二氏、小林幸子氏といった豪華な顔ぶれに加え、ダウン症のダンサーや日本一小さい俳優など多種多様な表現者が結集しました。歌、ダンス、朗読、マジックがめくるめく展開するステージは、観客の目を一瞬たりとも逸らさせない力強さに満ちていました。

日本一小さい俳優・手品師:マメ山田氏

東ちづる氏の衣装チェンジも見逃せない

2. 境界線を溶かす舞台演出と徹底したバリアフリー

圧倒的なクオリティと徹底したアクセシビリティの両立も本公演の魅力です。舞台上の手話・パソコン文字通訳に加え、音声ガイドの貸出も実施。「障がいを理由に隠さず、特性として表現に昇華する」姿勢のもと、視覚・聴覚に障がいがある観客も同じ熱量をリアルタイムで共有していました。また介助者へのチケット代返金の手厚いサービスも実施していました。

下手側の車いすスペース

上手側の車いすスペース

手話通訳者

同時日本語通訳

3. 主な演目と見どころ

『あの鐘を鳴らすのはあなた』:全員の熱量がひとつになる圧巻の開幕。

写真左:歌手・女装:ちあきホイみ氏 写真中:義足のダンサー:大前光市氏 写真右:ドラァグクイーン:エスムラルダ氏

『人間失格』:自閉症ラッパーGOMESS氏による魂を揺さぶる言葉の表現。

ミュージシャン:GOMESS氏

かんばらけんた氏とGOMESS氏

車いすのダンサー:かんばらけんた氏

ダンサー・俳優:森田かずよ氏

『狐舞「源。生きるを生きる。」』:自閉症ダンサー光陽師想真による独創的で神秘的な舞。

三味線:尾上秀樹氏

自閉症ダンサー・狐神舞:光陽師想真氏

『空にリボンを』:全盲のシンガーソングライター:佐藤ひらりの歌唱とアート制作がステージを色鮮やかに彩りました。
『アメイジング・グレイスGet in touchアレンジ』国境や障がいを超えた祈りと歓喜の合唱。心に響きました。

『空にリボンを』を演奏する佐藤ひらり氏

『ほめられて伸びる子行進曲』を演奏する佐藤ひらり氏

ベリーダンサー:SAYURI氏

こわれ者の祭典代表:月乃光司氏

両声類のシンガーソングライター:悠以氏

「糸」を熱唱する悠以氏

歌手・女装:ちあきホイみ

ドラァグクイーン:エスムラルダ氏

4. 取材後記:表現がひらく未来への可能性

本公演が提示したのは、単なる「障がい者支援」を超えた純粋で圧倒的な表現の世界でした。違いを認め合い、強みを活かして創り上げる舞台は、私たちが目指すべき「誰もが生きやすい社会」そのものです。観客の心に深い問いと感動を残す素晴らしい公演でした。

衣装チェンジしながら爆笑トークで司会を務めた、声優・マルチクリエイター:三ツ矢雄二氏、マメ山田氏、東ちづる氏

グッズ売り場には、チャリティー品の手ぬぐい、Tシャツ

アーティストや東ちづる氏のアート作品

会場入り口にはアート作品が並ぶ

東ちづる氏のアート作品

【補足】Get in touchが提唱する「まぜこぜ」とは?

「まぜこぜ」とは、俳優の東ちづる氏が代表を務める一般社団法人 Get in touchが提唱しているコンセプトです。
「障がいの有無、国籍、性別、年齢、性的指向・性自認などに関わらず、多様な人々が排除されることなく、そのままの姿で混ざり合って暮らせる共生社会」を意味しています。
まぜこぜ一座
障がいのあるダンサーやミュージシャン、ドラァグクイーン、全盲のシンガーなど、多様なバックグラウンドを持つパフォーマーたちが結集したグループ。舞台公演(『月夜のからくりハウス』など)や映画などを通じて、唯一無二のエンターテインメントを発信しています。
「誰も排除しない」エンターテインメント
アート、音楽、映像、舞台といったエンターテインメントの力を借りることで、メッセージを押し付けるのではなく、誰もが楽しく自然に「ちがい」を体験し、受け入れられる社会づくりを目指しています。

出演者とスタッフの皆さま

最後に

いつか必ず舞台が復活し、まぜこぜがあたりまえの世界になるように願っています。

写真・文:小川陽一

Get in touch HP