週刊連載エッセー 9月20日 (月曜日)

太陽系の果ての冥王星まで、探査機が行く時代ですが、一番近くの星、月は身近でやっぱり美しい。
大好きな日本の古いわらべ歌のなかに「あの山で  光るものは月か星か蛍か  月ならば  拝みましょうか……」という歌詞があります。昔から人々は月に祈っていたのですね。思うに、太陽には、天災が来ないように豊作でありますようにと暮らしの大もとを祈り、月にはもっと心の内側のこと、どうか無事に子が育ちますようにとか、幸せや希望を祈ってきたのではないでしょうか。
青く美しい月にも、だいだい色の温かい月にも、そのときの自分の心を照らして……。

今年の中秋の名月は、9月21日。
無事を感謝し、小さな幸せ「お月さま」に祈ります。

・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月30日号 食卓を片付けながら
※9月  6日号 庭のブドウの樹
※9月13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で