週刊連載エッセー 11月8日 (月曜日)
秋も深まったある日、紅葉を楽しみに日本百名山のひとつ、八ヶ岳の登山口にある鉱泉に行きました。
鉱泉の脇の登山道を2時間登ると景色がいいと教わり、登ってみることに。
第一展望台という岩場に出ると、八ヶ岳の峰々が間近に見えて、大感動。息を整えて次の展望台まで行こうかと思っているとき、中年女性がひとり、腰の鈴を鳴らしながら降りてきて、「この先で熊が出たそうです」と言うのです。さらに「冬眠前でおいしそうな人がねらわれるそうです」とも。
夫と私は太り気味のお互いを見て「降りよう」と下山。
減量しなくてはと反省しつつ、帰り道、一面に夕日に輝くススキの穂の美しさに感激。忘れられない秋の一日です。
・イラスト/いなだ 牧子
著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月 23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月 30日号 食卓を片付けながら
※9月 6日号 庭のブドウの樹
※9月 13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で
※10月 4日号 多摩川の鉄橋で
※10月11日号〝新米の力〟
※10月18日号 今夜の君は美しい!
※10月25日号〝湯気マジック〟
※11月 1日号 日本のお母さんの手