週刊連載エッセー (12月27日)
年の瀬近くの昼下がり、玄関のチャイムが「ピンポーン」。知人がアポなしで来宅です。
どういうわけか、わが家は電話のない時代みたいにアポなしのお客さまがけっこうみえる。
でも、ちょっと待って。
食卓は大人数の昼ごはんのあとで、お皿もお茶わんもまだそのままです。けれど、今、暖かい部屋は食堂だけ。仕方がないので食堂にご案内して、その方の座った席の前だけ、食卓を40センチ四方ほど急いでかたづけました。その空間にお茶とお菓子をお出ししてホッ。でもお客さまはちらかっている食卓に目をつむって下さり、お話をたくさんして帰りました。
40センチ四方の、とっさのおもてなしですが、とにかく「ごいっしょに、どうぞ」の気持ちだけは大切にと思っています。
・イラスト/いなだ 牧子
著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月30日号 食卓を片付けながら
※9月 6日号 庭のブドウの樹
※9月13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で
※10月4日号 多摩川の鉄橋で
※10月11日号〝新米の力〟
※10月18日号 今夜の君は美しい!
※10月25日号〝湯気マジック〟
※11月 1日号 日本のお母さんの手
※11月 8日号 紅葉を楽しみに
※11月15日号 花の〝花道〟に
※11月29日号 ボージョレ・ヌーボーの季節
※12月 6日号 年の瀬に向かって
※12月13日号 母の口紅
※12月20日号 おつき合いは、シンプルに