週刊連載エッセー(8月8日)
ペンと色鉛筆のイラスト 窓のような四角が並び、青を基調に緑や紫の太い線を背景にして白いハトがピンクの花咲く枝枝に停まっています 一番上の鳩は口に花を加え飛び立っていきます 楽しい思い出を持って天国に夫が旅立ったのでしょうか

私の長姉は、そっと人を思いやるやさしい気遣いの人で、料理上手。家族や周りの人にいつもおいしい料理を作ってくれていました。私とは11歳違い。姉というより、半分、育ててもらったような存在です。 
その姉が、3年前に夫を亡くし、体重が53キロから36キロに。それだけでなく夫の死を受け入れられず、姉のなかでは、夫がまだ生きているのです。訪ねたとき、姉は「良かったわ、ちょうどパパが食堂にいらして」と言うのです。私は姉の願望がそう言わせていると思うものの、義兄がいつもの席に座っていたらどうしようと不安も。入ると、義兄は、食卓の写真の中に、笑顔でいました。
義兄の闘病もあり、双方不可欠かつ相愛の夫婦でしたが、姉の喪失感の深さに、周囲もがく然。夫婦が愛し合いながらも頼りすぎず、個として生きる重要さ、大変さを、大きなショックと共に感じています。
 


・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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