障がいがある人が働くことは、他の人にはわからない苦労や努力があります。その悩みや大変さは、障がい当事者でも人それぞれです。どのようなことを感じながら仕事をしているのか気になるところ。また、就労を通じてどんなやりがいや喜びがあるのでしょうか。そこで、ライターjunkyabe(ADHD・自閉症スペクトラム)がアンケートで実際の声を集めました。
※提携サイト「Co-Co Life☆女子部」からの転載記事になります。
目次
1 就労・就活 状況
2 Q.今、働いていますか?
3 Q.どんな仕事をしていますか?
4 【みんなの声】仕事を通じてうれしかったこと・よかったことを教えてください
5 Q.現在または直前の雇用形態について
5.1 「障がい者枠」と「一般枠」雇用形態の割合
5.2 正社員で働く人の割合
6 Q.働いている(いた)期間は?
7 Q.どこで仕事をみつけましたか?
8 就活で利用したサポートの満足度
9 【みんなの声】就労サポートに感謝の声!
10 「リモートワーク」VS「実際に出勤」
11 Q.どちらの働き方を希望しますか?
12 【みんなの声】リモートワークがいい人の意見
13 【みんなの声】実際に出勤したい人の意見
14 【みんなの声】リモートでは出来ない仕事の人たち
15 Q.週20時間から働ける障がい者雇用のルール変更を知っていますか?
16 【みんなの声】ルール変更、賛成派の意見
17 【みんなの声】ルール変更、反対派の意見
18 【みんなの声】ルール変更、静観派の意見
19 【みんなの声】働くうえであなたが大切だと思うことはなんですか
20 アンケートを終えて
Q.今、働いていますか?
・現在、働いている人 70.7%
2018年のアンケートと比べて、「働いている」と答えた人は5%増えました。一方、前回は10%近くいた「働いたことがない」という人は、今回は2%くらいと半分以下に減っていました。
Q.どんな仕事をしていますか?
・1位 事務職 45.0%
・2位 清掃・軽作業 15.0%
・3位 介護・福祉 10.6%
事務職、清掃、軽作業は、障がい者枠の求人に多い職種なので、アンケートでも実際の求人状況とリンクした回答が多く寄せられた結果となりました。
【みんなの声】仕事を通じてうれしかったこと・よかったことを教えてください
・私自身を見てもらい「あなただからこそできることがある」と上司に言われたときはうれしかった。(30代・脳性まひ)
・「自分にもできることがある」とうれしい発見がありました。 (20代・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)
・出来る仕事をふってもらえるので自信にも繋がりました。(40代・骨形成不全症)
・自分の障がい特性について資料を持参した際に、担当の方が熱心に読んでくださった。(20代・自閉症スペクトラム・軽度知的障がい)
・障がいを負って復帰するにあたり、仕事内容や勤務体制の見直しと最大限の配慮をいただきました。(40代・下肢麻痺)
・障がいを負う前の経験や実績を認められて採用が決まったこと。(50代・頸髄損傷)
・資格を取得して周りに認められたこと。時間もお金もかかったけど、がんばってよかった。(40代・下肢まひ)
・IT系の資格を取ったことで、仕事の幅が広がりました。(40代・脳性まひ・四肢体幹まひ)
Q.現在または直前の雇用形態について
「障がい者枠」と「一般枠」雇用形態の割合
・一般枠 28.6%
・障がい者枠 47%
正社員で働く人の割合
・正社員 32.9%
・アルバイト・契約社員など 42.7%
「障害者雇用」が広く知られるようになったため、障がい者枠で働く人が増えているようです。以前は障がいを伝えず一般枠で働いていた人が、障がい者枠に切り替えるケースもあるようです。正社員の割合が多くないのは、障がい者枠の求人に正社員の募集が少ないことが考えられます。
Q.働いている(いた)期間は?
・1位 3~5年 21.7%
・2位 1~3年 21.7%
・3位 5~10年 20.5%
Q.どこで仕事をみつけましたか?
・1位 ハローワーク 21.4%
・2位 知人・親戚の紹介 19.5%
・3位 一般の就職サイト・学校の紹介 6.9%
就活で利用したサポートの満足度
就職のルート別で満足度を調べてみると、満足度が高かったのは「学校や先生の紹介」。
障がいに理解のある人と相談しながら仕事を探すため、就職後のミスマッチが少ない点が満足度につながっているようです。
就職サイトよりエージェント、就労移行支援などを利用した人の満足度が高くなるのは、担当者と相談しながら一緒に仕事を探すスタイルに理由がありそうです。
・就労支援のサポートにとても助けられました。就職後も継続してサポートしてくれるのもありがたいです。(20代・全身性ジストニア)
・支援学校、ハローワーク、就労支援センターが連携して就職後までサポートしてもらえました。(20代・二分脊椎症)
・面接の前に、ハローワークの方が企業の方へ車いすに対応してくれるよう伝えてくださいました。事前の説明のおかげで配慮してもらえたので、スムーズに話が進みました。(40代・脳性小児まひ)
・次へ進むために必要なことや、障がいの理解について学べたので、就労移行支援のサポートはとても良かった。(40代・精神障がい)
・就活しているとき、難病サポーターの方にお世話になりました。アドバイスはもちろん、就職後も職場や私と連絡を取っていただけるので感謝しています。(30代・ミトコンドリア病)
・一部の人から、心ない言葉があった時、責任者がすぐに対応してくれたので、ホッとしました。(50代・体幹障がい)
・就職後も気づいたことがあれば、その都度相談して改善してもらえるのでホントにありがたいです。(20代・脊髄性筋萎縮症)
・どうすればできるか、ミスが減るかを一緒に考えてもらえたので助かりました。(30代・発達障がい)
Q.どちらの働き方を希望しますか?
・リモートワークがよい 32.3%
・リアル出勤がよい 16.8%
・通勤ラッシュの時間帯に出勤するのは大変。(20代・筋疾患による上肢下肢機能障がい、他多数)
・出勤するだけでも体力を使う。(20代・全身性ジストニア)
・駅員の介助を頼むのもストレスになることがある。(40代・脳性小児まひ)
・対人関係上のストレスがなくなる。(20代・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)
・しんどくなったら横になれる。(40代・睡眠障がい、他多数)
・体調に合わせて働ける。(30代・四肢体幹機能障がい、他多数)
・トイレに気兼ねなくいける。(30代・二分脊椎)
・質問・相談しやすい。(40代・双極性感情障がい、他多数)
・対面でないとコミュニケーションが取りにくい。(30代・脳性まひ)
・直にアドバイスをいただける。(30代・発達障がい)
・自宅は安らげる空間にしたい。(30代・先天性骨形成不全症)
・会社に行かないとメリハリがない。(30代・きつ音、他多数)
・通勤で仕事のスイッチが入ります。(50代・高次脳機能障がい)
・出勤した方が自分も社会の一員であると思えるから。(30代・ミトコンドリア病)
・清掃の仕事は、リモートなんてありえません。(30代・精神障がい)
・紙の書類の事務作業があるから。(40代・視神経脊髄炎)
・自宅にいれば体の負担はないですが、私生活との区切りが難しいのかなと思っています。ちなみに、私は児童指導員(保育士)なので、リモートワーク向きの仕事ではありません。(20代・網膜色素変性症・神経線維種症1型)
Q.週20時間から働ける障がい者雇用のルール変更を知っていますか?
・知っている 25%
・知らない 75%
・長く働くことが難しいので、週20時間以上の働き方に壁を感じていました。法改正で短時間しか働けない人にも機会が増えることを期待したい。(20代・右下肢機能障がい・慢性疼痛、他多数)
・短時間労働が認められるなら、社会に出て自信を持てる障がい者も増えると思う。(30代・ミトコンドリア病、他多数)
・リハビリ就労ができるのは助かります。(30代・自閉症スペクトラム)
子供がいてフルタイム勤務が難しいから、どんどんルールが変わってほしい。(40代・ペルテス病に伴う変形性股関節症、うつ病)
・20時間以上働ける・働きたい障がい者が、時間数や給料を減らされないか心配。(30代・痙性対麻痺・発達障がい)
・採用後、仕事をさせてもらえるか心配。(50代・体幹障がい)
・実際は仕事を与えず、形だけ雇われる人が増えそう。(30代・脳性まひ)
・「障がい者の雇用に力を入れる」というのは口先だけで、障がい者の働く時間を減らす方向につながりかねない。(20代・脊髄小脳変性症)
・働きやすい環境が作られるのは嬉しいですが、この制度が悪用されないことを祈るばかりです。(20代・筋疾患による上肢下肢機能障がい、他多数)
・間口が広がるのは嬉しいけど、目標数値達成に利用されるだけで終わらないようにしてほしい。(30代・ベーチェット病・筋痛性脳脊髄炎、他多数)
・雇用の頻度は上がって良いと思うけど、フルタイムの求人が減らないか不安も感じます。(30代・片まひ)
・雇用率は大事ですが、働ける環境が必要だと思います。(40代・両下肢反射性交感神経ジストロフィー、重度喘息)
・今のところは何とも言えませんが、法改正で少しでも多くの障がい者が仕事に就けると良いと思います。(30代・両上肢・体幹機能障がい)
【みんなの声】働くうえであなたが大切だと思うことはなんですか
・周囲の理解と障がい者本人の努力、両方が必要だと思います。(20代・全身性ジストニア、他多数)
・障がいのある・なしより、仕事に向き合う姿勢が大切だと思います。(40代・脳性小児まひ)
・できる仕事のレベルを見極めること。(40代・双極性障がい、発達障がい)
・障がい者自身も、周りへ配慮や工夫が必要です。さらに、資格などを取れば採用のチャンスを増やせます。(50代・体幹障がい)
・コミュニケーションをしっかり取ること。(30代・先天性多発性関節拘縮症)
・この人を雇いたいと思って貰えるよう、勉強や面接練習を頑張ってホントに良かった!障がいがあっても、障がい者にもできることがあると世間に広めていきたいと感じています。(20代・脊髄損傷)
アンケートを終えて
大変なことがあっても、無くなるとお財布も心も寒くなるのが仕事ではないでしょうか。
アンケートでは、モヤッとした話もうれしかったエピソードも寄せられましたが、5年前より働く人が増えたのは、良い方向に進んでいる証ではないでしょうか。
上手くいかないことがあっても、「ありがとう」と言われると励みになりますよね。
障がいにとらわれず、自分自身を認めてもらえたらモチベーションも上がるでしょう。
アンケートでも同様の意見がいくつかあったので、私も頑張ろうと思いました。
また、みなさんの声の中には、リモートワークなど、柔軟な働き方を望む意見が多く寄せられました。
日本の企業は、健常者を中心とした仕組みが多いため、障がい者には馴染まない点も多々あります。
障がい者の就職が難しいのは、能力や人柄の問題というより社会が壁を作っているからでしょう。
働くのに不安があったり就活に行き詰ったりすることもあるかと思いますが、一人で悩まずサポートを利用するのがおススメです。
アンケートでも、相談できる人と一緒に仕事を探した人は、就職後の満足度が高いようでした。
いろいろな障がい者向けのサポートがあるので、自分に合うものを探してみるのもいいでしょう。
ただ、地方には障がい者向けの就職サポートが少なく、あっても定期的に通うことが必要なケースが一般的。さまざまな事情で通うことが難しい人は、サポートから取り残されたような感じがしますよね。
そこで、Co-Co Life☆女子部では、リモートでの就職をサポートする「リモリク」をスタートしました!
障がい者向けのリモートワークのサービスは、まだ少ないのでぜひご覧ください。
詳しくは、こちら↓
https://co-co.ne.jp/?page_id=18073
■この記事のライター
名前:junkyabe
障がい名:発達障がい(ADHD・自閉症スペクトラム)
■イラスト
名前:車イスにゃにゃ
障がい名:先天性ミオパチー
クスっと笑える車いす女子の日常を描いたブログを運営
「車イスにゃにゃのにゃんのその絵日記」
http://kurumaisunyanya.livedoor.blog/