皆さんは、新幹線に「多目的室」があることを知っていますか?
らくゆく編集スタッフの高瀬翔太(車いすユーザー)が、名古屋出張取材で多目的室を利用してみました。
チケットの購入方法(料金)から多目的室内部までを紹介します。
 

チケットの購入方法


「JR みどりの窓口」のある駅で購入でき、多目的室の利用と下記のことを伝え発券してもらいます。
例)
日にち:11月22日の往復(片道又は往復)
人 数:2名(車いす1人、介助者1人)
※車いすの人1名なのか、介助者もいるのかを伝える。
場 所:行き→名古屋駅(東京駅→名古屋駅)
    帰り→東京駅(名古屋駅→東京駅)
時 間:行き→8時30分頃に名古屋駅着
    帰り→18時30分頃に名古屋駅発
料 金:33,240円(障害者手帳を提示で、料金半額(介助者も割引適用))
    上記の料金は往復分(2名分:介助者含む)
手続きが完了したら、約30分後にチケットが発券され、料金を支払う。
※希望の日時が埋まっている場合もあるので、他の候補日時も考えておいた方がいいです。
名古屋行きチケットの写真。新幹線指定券(普通個室)と書かれた多目的室用と新幹線特急券の2枚。利用料金:特別な料金は、発生しません。(割引が適用された料金分で利用可能)
多目的室用(上段)と新幹線特急券(下段)の2枚(片道分)が発行される。(往復4枚)
※介助者用は、新幹線特急券のみ発行されます。
 

広い東京駅


道が分からなくても、駅員さんが車いすを押して改札口まで案内してくれて、近くには車いす専用の待機場や多目的トイレもあり、発車までゆっくり過ごせます。

ガラス張りの自動ドアで区切られた、車いす待合室

▲車イス待合室

待合室の中。広い空間で、壁際に椅子が設置されている
多目的トイレ入口の写真多目的トイレの内部。カーテンの仕切りやオストメイト流しもある。
トイレ内部、洗面台の写真入口ドアはボタン式で、上の緑のボタンで開き、下の赤のボタンで閉じる


発車15分前になると駅員さんが、迎えに来てくれて一緒にホームまで行ってくれます。

11号車から乗車しました。(乗車位置は、車両編成によって異なります)
新幹線に乗るときは、駅員さんがスロープをだしてくれます。
筆者が新幹線に乗車する様子。足元にスロープが設置されている。
 

多目的室


各新幹線には、多目的室と呼ばれる個室があり、内側からの施錠も可能で、周囲のことを気にせずにソファーベッドで、ゆったり過ごすことができます。
新幹線の扉が開いたら、すぐ多目的室があり、室内入って右側に介助用の折り畳み椅子がありますが、壁に固定されていて自由に動かせないので要注意!
※普段は施錠されているので、自由に使用することはできませんが、妊婦や授乳中の方や体調が悪くなった方は、巡回している車掌さんに声をかけて利用可能。
すぐ隣には多目的トイレもあるため、とても助かります。
社内に入ってすぐ右にある、半円柱状の多目的室多目的室のドアを開けて、中に入っていく様子多目的室の内部。窓際にはテーブルと自動ドア開閉ボタンがあり、部屋の至る所に手すりがついている。▲室内は、車いす1台と介助者用の折り畳み椅子とソファベッドの広さ

上が開ける、下が閉めるボタン

▲内側に自動ドアの開閉ボタンがあります

自動ドアの写真。ドアの開閉ボタンは側面の壁にあります。ドアを閉めた後は必ずカギをかけてくださいという注意書きがある。

▲ドアを閉めたら鍵も施錠します

※新幹線が動き出したら、車いすがうまく操作できないので、トイレなどの移動の際は介助者に車いすを押してもらったほうがよいです。
 

ベッドにするには


車いすの人が1人で操作するのは、大変厳しいので介助者の方に操作してもらうことを、オススメします。
枕の上に、リクライニングやベッドの操作方法が貼ってありますので、参考にしてください。
ベッドにすると、180cmある介助者でもラクに横になれます。
※折り畳みのできない車いすだと、ベッドにすると置くスペースがないので注意が必要
①ボタンを押して枕を引き抜く。②レバーAを上げて座布団をスライドさせる。③レバーABを同時に上げてロックを解除し、ハンドルを持って背もたれを倒してベッドにする。ベッドの右側の壁、手すりのすぐ下に連絡用ブザー、さらにその下、床近くに充電コンセント▲黄枠:連絡用ブザー(非常時のときは、助かります)、赤枠:充電コンセント(スマホなど充電がきれても安心)


意外と知らないかも


テーブルがあるのはご存知でしたか?
設置方法は簡単ですが、車いすの方がテーブルを取り出すのはかなり大変なので、介助者の方に設置してもらったほうがいいです。
テーブルは、黄枠のソファー窓側下にあり赤枠にガチャってはめるだけ!
テーブルはソファー左側、壁との隙間にあり、窓の下の出っ張りに穴が二つ付いている部分に設置するテーブルを設置した状態▲テーブルの上に重い物を置くと、はずれる場合があるので要注意

多目的トイレ
入口ドアがカーブした多目的トイレ。自動ドアの開閉ボタンは上が開く、下が閉じる多目的トイレの内部。ベビーベッドや連絡用ブザーが設置されている

いかがでしたでしょうか?
車いすユーザーにとって、長時間の移動は少し苦痛ですよね。
移動の苦痛を軽減するためにも、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
多目的室は、周りを気にせずに過ごせるし、ソファーにバックなどの荷物が置けるのもいいです。
駅員さんは、新幹線の乗降だけでなく、在来線の乗り継ぎまでサポートしてくれるので、初めて利用する方でも安心できますよ。

文:高瀬翔太(頸椎損傷)、写真:山本秀一


みどりの窓口がある駅
https://www.jreast.co.jp/estation/facility_search.aspx?SearchCategoryCd=1