港区立みなと科学館(東京都港区虎ノ門)では、10月8日(火)から11月24日(日)まで「ジオパーク巡回展 地球時間の旅」に「関東の大地の物語」を追加した、みなと科学館特別版が開催されます。
「地球時間の旅~石ころから何が見える!?~」では、国内のジオパークを巡回中の展示「地球時間の旅」を都内で初公開。
 さらには、みなと科学館制作の特別展示コーナー「関東の大地の物語」では、都内の複数個所で化石が発見されているナウマンゾウについて、大型復元模型を用いてのご紹介と、23区内でも特に起伏に富む港区の地形ができた経緯を解説。

展示構成は、6つのパートによって構成
1.序章「ジオパークってなんだろう?」
2.第1章 「ツナガル~現在の暮らしと文化に繋がる地球の歴史~」
3.第2章 「カラフル~様々な石たちが目の前の景色を彩る~」
4.第3章 「ツクル~日本列島を形作った地球の物語~」
5.第4章 「ツタエル~豊かな暮らしと大地の物語を未来へ伝える~」
6.特別展示コーナー「関東の大地の物語」

序章「ジオパークってなんだろう?」
 ジオパークとは、地球科学的意義のあるサイトや景観、その上に息づく生態系、それらを利用し育まれてきた文化や風習を保護し、教育や地域の持続可能な開発に活用するプログラムです。日本には46のジオパークがあり(2024年9月現在、そのうち10はユネスコ世界ジオパーク)、地質・地形などからその地域の成り立ち(過去)を知り、私たちの今の暮らしとの繋がりについて学び、未来を考えるための活動に取り組んでいます。本章では、ジオパークにおける様々な活動・取り組みを映像及びパネルにて紹介します。

第1章 「ツナガル~現在の暮らしと文化に繋がる地球の歴史~」
 私たち人間は過去の地球の活動によって生み出された様々な地形や地質の特色を農作物などの特産品や観光に活かしています。また、そうした地形や環境は動物や植物にも様々な影響を与えています。本章 では地球の歴史と現代の暮らし、文化や生態系との密接な関係についてパネル展示で紹介します。

■豊かな農作物を育む地形と地質
 火山の噴火で流れ出た溶岩や降り積もった火山灰が作り出した水はけのよい斜面は、大根やサツマイモなどの豊かな農作物を育み、特産品として全国に流通しています。

▲扇状地を活かした桜島大根の栽培
(画像提供:桜島・錦江湾ジオパーク)

■観光文化の地として活用される地形
 大規模な火山活動の結果、大地が陥没してできた地形をカルデラといい、その地形に水が溜まってできたカルデラ湖は、自然との関係性が高い観光文化の地としてその地形が活用されています。

▲カルデラ湖を観光利用している地域(洞爺湖)
(画像提供:洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク)

■植物の生育に影響する地形
 岩石の違いが土壌の性質に影響し、様々な植生を育んでいます。特定の地質の場所にのみ生育する植物もあります。

▲特定の地質にのみ咲く花
(アポイ岳の固有種であるサマニオトギリ)
(画像提供:アポイ岳ユネスコ世界ジオパーク)

■「発見BOX」
 普段使う日用品と地質との関係が分かる引き出し型の什器。什器の天面に置かれた日用品がどんな岩石・鉱物資源に由来しどんな素材で作られているのか発見を促す仕組みの箱「発見BOX」を展示します。

第2章 「カラフル~様々な石たちが目の前の景色を彩る~」
 岩石や鉱物などが実は色鮮やかでカラフルな世界であることを紹介します。様々な石たちが目の前の 景色を彩り、風景を形づくっていることを実物展示やパネルで紹介します。

■ヒスイの「色」は何色?
 日本の国石であるヒスイ。ヒスイといえば深緑の半透明な物が代表的です。全長約35cmの大型原石の実物を展示されます。

▲緑色ヒスイ(原石)
(写真提供:フォッサマグナミュージアム)


■岩石や鉱物の「色」のイメージは?
 岩石や鉱物の色をイメージすると地味な色を連想しがちですが、顕微鏡を通して覗いてみると、とても 色鮮やかでカラフルなものもあります。まるで地球が生み出したアート作品のようです。そのような色鮮やかな岩石や鉱物の顕微鏡写真をパネルで紹介します。

▲玄武岩を顕微鏡で覗いた様子
(画像提供:山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク)

第3章 「ツクル~日本列島を形作った地球の物語~」
 日本列島を形作った地球の壮大な物語を、岩石や化石などの実物展示やパネルにて紹介します。約9,000~7,000万年前、日本列島の土台となる大地の一部は元々大陸の縁にありました。約2,600万年前に 始まった活発な火山活動によって大陸から大地の一部が切り離され、日本列島の原型が誕生しました。

▲約9,000~7,000万年前、日本列島の土台がつくられたころの海に暮らした異常巻きアンモナイト(ユーボストリコセラス) 
(所蔵:地球科学可視化技術研究所)

■日本列島形成期の記録
 日本列島形成期の活発な火山活動の記録として、熱水変質の影響を特に強く受けた部分が鮮やかな緑色を示す、火山灰に由来する岩石「グリーンタフ」が日本海側を中心に国内の様々な地域から見つかります。また、現在の関東・甲信越には日本海と太平洋をつなぐ海峡があったと考えられています。この海峡のことを「フォッサマグナ」(ラテン語で“大きな溝”という意味)といいます。当時、そこが海で あった証拠として、貝の化石を多く含む岩石が見つかっています。会場ではグリーンタフや貝化石の実物を展示いたします。

▲約2,100万年前のグリーンタフと呼ばれる岩石
(画像提供:男鹿半島・大潟ジオパーク)

▲約2,000万年前の海で堆積した砂質泥岩
(画像提供:下仁田ジオパーク)

第4章 「ツタエル~豊かな暮らしと大地の物語を未来へ伝える~」
 スマートフォンなどの電子機器に使用されている金などの希少金属は、地球が途方もない時間をかけて産み出した貴重な地質資源であることを紹介します。
 また、ジオパークでは未来を担う次世代の育成にも力を入れており、地域の資源やそれらを活用した私たちの暮らしを守るために重要な、地域資源の保全と活用のバランスを考える総合学習などを行って います。ジオパークが行う、豊かな暮らしと大地の物語を未来へ伝える様々な取り組みをパネルにて紹介します。

▲貴重な地質資源(砂金として産出した自然金)
(画像提供:糸魚川ユネスコ世界ジオパーク)

 

特別展示コーナー「関東の大地の物語」
 みなと科学館制作の特別展示コーナーとして「関東の大地の物語」と称し、東京、特に港区を中心とした 地形の成り立ちや、その近郊における地質の特徴など、壮大な大地の物語を立体地形パズルやナウマン ゾウの大型復元模型、パネルで紹介します。

 ■港区の立体地形パズル
港区の地形を再現した立体地形パズルを展示します。海や川の作用で生まれた凸凹地形の上に街があることをパズルを用いて体感してもらいながら、高低差のある地形の成り立ちを紹介します。

■東京にもいた!ナウマンゾウ(大型復元模型の展示)
 東京都内にある複数個所の地層から化石が発見されているナウマンゾウ。会場に全高2.2m・全長2.9mの大迫力の復元模型を展示し、その特徴をパネルで紹介します。
 また、ナウマンゾウの化石が発見された東京の地質についても解説し、太古の昔には私たちが暮らす地域 にもナウマンゾウなどの大型の生物が存在していた事を紹介します。

▲ナウマンゾウ(復元模型)
©KOKORO.CO,LTD

■チバニアン期の大地と海
 地球の歴史は、国際的な地質学者の団体(国際地質科学連合)により、いくつもの地質年代に区分されています。
 2020年1月、千葉県市原市にある地層を基準にした「チバニアン期」(ラテン語で“千葉の時代”の意味) という名称の地質年代区分(約77万4千年前~12万9千年前)が誕生しました。
 ゾウやトドなどが暮らしたチバニアン期の関東一円の生態系をダイナミックな景観復元画によって紹介し、当時と現代の環境の違いを感じていただきます。
 

その他にも、関連イベント1⃣~4⃣が予定されております。
※2⃣~4⃣イベントには、事前のお申込みが必要です。HPをご確認ください。

1⃣テーブルサイエンス「めざせ!石ころ探偵!~この石ころ、どこの石ころ?~」
会期中毎日開催10:00~18:00(最終受付:17:45)
2⃣トークセッション「ふかぼり! 東京の地形と大地の ふしぎ~なぜ港区は坂だらけ?どのように東京の地形はできたの?~」
10月26日(土)15:30~16:45
3⃣地球のカケラでお絵描きしよう!土のパステル「ドパス」を使って
11月16日(土)
①10:30~11:20
②13:30~14:20
③15:00~15:50
4⃣石の種類日本一!? 糸魚川の石でカードバトルに挑戦しよう!
11月17日(日)
①11:00~12:00
②15:00~16:00

 

 是非、この機会に親子で科学的な視点から、地球の歴史と私たちが暮らす街との知られざる繋がりについて、楽しみながら体験してみてはいかがでしょうか?

港区立みなと科学館 2024秋の企画展
「地球時間の旅 ~石ころから何が見える!?~」
ビジュアル
©港区立みなと科学館

【開催概要】
1.企画展名称:港区立みなと科学館 2024秋の企画展「地球時間の旅 ~石ころから何が見える!?~」
2.主催:港区立みなと科学館
3.協力:特定非営利活動法人日本ジオパークネットワーク、糸魚川ジオパーク協議会、
    フォッサマグナミュージアム、千葉県立中央博物館、野尻湖ナウマンゾウ博物館、
    地球科学可視化技術研究所、国土防災技術株式会社(順不同・敬称略)
4.後援:日本地質学会、日本古生物学会、国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター (順不同・敬称略)
5.会期:2024年10月8日(火)~11月24日(日) 計48日間
   〔会期中、10月15日(火)、11月11日(月)、12日(火)は休館〕
6.会場:港区立みなと科学館 多目的ロビー
※各イベントの最新情報や詳細は公式サイトでご確認ください。
 

港区立みなと科学館
所在地:東京都港区虎ノ門 3-6-9
開館時間:9:00~20:00(プラネタリウム最終投影 19:00開始、最終入館時間 19:30)
休館日:毎月第二月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)※臨時休館日あり
入館料:無料 ※プラネタリウムは有料 一般投影(1回分)大人600円/小・中・高 100円
みなと科学館公式サイト:https://minato-kagaku.tokyo/
公式X(旧twitter):https://twitter.com/minato_kagaku
公式LINE:https://page.line.me/878gfnob?openQrModal=true
公式youtube:https://www.youtube.com/@user-qe9tu7fh1f

【問い合わせ先】港区立みなと科学館 広報担当
電話:03-6381-5041(9:00~20:00)FAX: 03-3578-3719
e-mail:koho@minato-kagaku.tokyo

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