2024 11月13日東京都庁第二本庁舎で、東京都・(一財)全日本ろうあ連盟・(公財)東京都スポーツ文化事業団の3者合同で 東京2025デフリンピック プレスセミナーが開催されました。
 本大会に向けた準備の進捗状況や今後の予定等を説明されていました。

右端から
倉野 直紀氏  一般財団法人全日本ろうあ連盟 デフリンピック運営委員会事務局長
清水 俊二郎氏 東京都生活文化スポーツ局 事業調整担当部長
北島 隆氏   公益財団法人東京都スポーツ文化事業団 デフリンピック準備運営本部
        ゲームズ・マネジメント・オフィサー
板倉 広泰氏  公益財団法人東京都スポーツ文化事業団 デフリンピック準備運営本部
        総務部シニアマネージャー


最初は倉野氏より
 1.大会概要・東京開催の意義・運営体制等について

「デフリンピックとは」
・IOC(国際オリンピック委員会)公認大会で、きこえない人の国際大会。
・第1回目は1924年パリのフランスで開催され今回の東京2025デフリンピックで100周年となる。
・ 期間:2025年11月15日~26日(12日間)。
・競技数:全21競技。
・ 競技参加国:70~80の国や地域。

「デフリンピックの特徴とは」

・参加対象となる選手の条件。
・補聴器を外した裸耳状態での聴力損失が55デシベルを超えている者など。
・競技及び視覚的情報保障。
・競技は基本的にオリンピックと同じルールで運営される。
・選手すべてが平等に聞こえない立場でプレーするという公平性の観点により、競技・練習では補聴器等を装用することは禁止。ルールに違反した場合は失格となる。

「準備・運営体制について」
・共生社会の実現が重要で、きこえる人もきこえない人も共に運営していき大会を実現させたい。


次に清水氏より
 2.東京2025デフリンピックに向けた東京都の取組について

「東京2025デフリンピックを通してめざすもの」
1)みんながつながる『いつでも・どこでも・誰とでも』つながる街・東京
・手話言語の理解・促進に取り組むとともに、国籍や障がいにかかわらずスムーズなコミュニケーションを実現する、様々なデジタル技術を活用して「誰もが円滑につながる大会」を実現する。
・デジタル技術の開発や社会実装を進めるきっかけとして「ユニバーサルコミュニケーション」と呼んでいるこれを社会に浸透させていきたいと考えている。
「ユニバーサルコミュニケーション」技術の紹介
 透明ディスプレイ
  音声言語を文字言語に変換してディスプレイに投影させる。
  お互いの顔が見えるのが特徴で32カ国語に対応している。
  今年から都庁総合案内ほか、全38施設に設置。

・競技音や応援をオノマトペ(擬態語、擬声語)で可視化する「ミルオト」
 会場に設置することで、誰もが観戦・応援を楽しめることをめざす

・競技会場での機器活用案
 会場受付【透明ディスプレイ】
 会場案内【多言語会話アプリ】など

 2)子供たちが夢をみる『子供たちの大会への参画』

大会エンブレム
 デザイン案は国内で唯一の聴覚障がい者・視覚障がい者のための国立大学である筑波技術大学の学生が制作。
 都内の中高生がグループワーク(意見交換)を経て、投票を行い、デザインを決定。
メダルデザイン
 全国の小中高生によるオンライン投票(8万票超)でメダルデザインを決定。
エスコートキッズ・メダルセレモニー
 選手入場時のエスコートキッズやメダルセレモニーの役割を担うなど、子供や若者の参画を検討。

3)みんなで創る【東京2025デフリンピック ボランティア募集】
・募集期間:202411月15日(金)~20251月31日(金)
・募集人数:約3,000人
・活動期間、応募要件、活動内容、応募方法などウェブページで案内


次に北島氏より
 3.大会準備状況について(競技会場、デフリンピックスクエアなど)

 大会については「地に足のついた大会運営」をめざし、運営はほぼすべて手弁当で進めている。お金をかけず、しかししっかりと選手たちが満足がいく、そういった大会をめざすという。
 今後、国際大会を開催するにあたってこの東京2025デフリンピックの大会運営の仕方というのが、ひとつのデフォルトになっていく大会運営ができたらいいと説明されていた。

競技会場について
 大きな施設(国立競技場等)だけではなく地元で使っているような施設でも、きちんとレギュレーションをしていけば国際大会が開けるんだということを示していきたいと説明されていた。

デフリンピックスクエアについて
    国立オリンピック記念青少年総合センター(NYC)に設置。
    今大会のもっとも象徴的な施設、象徴的な内容を踏まえた場所になるという。
    一般的なオリンピックは国立競技場、選手村、オリンピックパークで運営されているが今回のデフリンピックでは、選手村とオリンピックパークを一緒の施設にしたいと準備しているとのこと。

デフリンピックスクエアとは 
    大会運営本部、輸送のハブ、メディアセンター、ウォームアップエリア等の機能を持つ大会運営拠点。 
    新技術を活用したユニバーサルコミュニケーションや交流、文化鑑賞等、選手向けの様々なサービスを提供。


最後に板倉氏より
 3.大会準備状況について(会場装飾、協賛)

会場装飾についての基本的な考え方
    選手が高いパフォーマンスを発揮し、観客が高揚感をもって応援できる空間を創出する。
    会場に訪れた方々の撮影ポイントとしても活用し、東京2025デフリンピックをより一層印象づける。
    装飾ツールは会場内にバナー、周辺にはのぼりをベースとする。

寄附・協賛について
 大会の成功に向けて、より多くの人々が参画し、みなさまと力を合わせて大会を創っていくため、寄附・協賛を募集中です。

取材を終えて
 東京2025デフリンピックは今回で100周年の記念大会で、東京で開催できることに喜びを感じます。全日本ろうあ連盟 デフリンピック運営委員会事務局長の倉野氏は、デフリンピック招致に込めた想いを手話で熱く語っていました。運営に関しても残り1年しかなく、とても大変だと思いますが是非大会を成功させていただきたいと思いました。

 


写真:山本秀一 文:神戸剛(脊髄損傷T6-7)