週間連載エッセー 8月第5週(8月30日)

春巻きを40本作りました。夕方娘と、息子の妻がそれぞれ保育園から2歳児をつれて来宅。あわただしく夕食を済ませて、残りの春巻きも持ち帰っていきました。
親に支えてもらったように私も働く若い母親たちを応援。送り出して室内に戻ると、食卓の上には、まだ大皿やコップ、こぼれた汁なども。
片付けながら思いました。この食卓は娘が生まれた年に買ったもの。35年以上も前のことです。以来、子どもの成長、家族の歴史をいちばん近くで見ていてくれたのだと。会話も笑い声も泣き声も聞いてくれたのだと。そして今も頼もしくスクッと4本の脚で立っています。

「ありがとう」と感謝を込めて、新しいふきんをおろしてふきました。

 

イラスト/いなだ 牧子

※8月第4週 長男が、大人の背丈になったとき

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。ⒸKyoko Namiki,Makiko Inada&upon factory 無断で複写・複製することは、著作権上の例外を除き禁じられています。