お城フェス2025 in 大阪を満喫した後は、さらに足を伸ばして大阪から兵庫、鳥取、そして島根へと旅を続けました。

道中では、鳥取県八頭(やず)郡若桜(わかさ)町にある若桜鬼ヶ城跡(わかさおにがじょうあと)や鳥取市にある鳥取城跡を巡り、城巡りならではの歴史の息吹や地域の魅力を味わうことができました。
その夜は道の駅大山(だいせん)恵みの里で車中泊。

第二弾は翌8月11日(月)に鳥取県米子市にある米子城跡を巡って、島根県安来(やすぎ)市にある月山富田城跡(がっさんとだじょうあと)へと足を延ばしました。月山富田城跡は山城で車いすでの登城は難しかったため、付近にある道の駅広瀬・富田城に立ち寄りました。


 

歴史の舞台へ足を運ぶ――安来市立歴史資料館

白亜のすっきりとした外観が印象的な安来市立歴史資料館。館内1階では月山富田城の構造や城主、主要人物をパネルで分かりやすく紹介する展示コーナーが設けられ、山城の地形や城の配置を再現したジオラマも見応えがあります。戦国時代の面影を立体的に感じられる貴重な体験ができ、歴史好きだけでなく、初めて訪れる方にもおすすめです。1階の展示は無料で観覧できるので、気軽に立ち寄って城と地域の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
2階には土器や武具などの展示コーナーがあります。有料(一般210円、高大生100円、小中生30円)で地域の歴史をさらに深く学ぶことができますが、エレベーターがないため注意が必要です。

道の駅広瀬富田城の風景。右の建物が安来市立歴史資料館、真ん中の建物が広瀬絣センターが建ってます

 

月山富田城――戦国時代を彩った名城の歴史を紐解く

月山富田城周辺のジオラマ。真ん中の山は月山、この山に富田城があります
月山富田城周辺の山々のジオラマ。山が多くある場所にお城が築かれました

月山富田城は標高190mの月山に築かれた広大な山城で、飯梨川(いいなしがわ)に向かって馬蹄形(ばていけい)※1に伸びる複郭式(ふくかくしき)※2が特徴です。主郭を山頂に構え、尾根沿いに多数の曲輪(くるわ)を配置して、三方面からしか攻め込めない難攻不落の構造で戦国時代を通じて一度も落城しませんでした。
尼子(あまご)氏の拠点として栄えた後は、毛利(もうり)氏、吉川(きっかわ)氏、堀尾(ほりお)氏と城主が変わり、山陰地方の政治・経済の中心として重要な役割を果たしました。近世には石垣や瓦葺きの櫓(やぐら)が築かれ、城郭(じょうかく)として大きく発展。
昭和9年に国の史跡、平成18年には日本100名城、平成30年には日本遺産「出雲國たたら風土記」の構成文化財に指定されるなど、その歴史的価値は高く評価されています。

※1…馬蹄形(ばていけい)とは、馬のひづめに取り付ける蹄鉄(ていてつ)に似たU字型の形状を指します。幸運を呼び込み、厄を払うラッキーモチーフとして古くから親しまれており、U字が幸運を受け止める「器」に見えることや、昔の言い伝えから富や幸福の象徴とされていることが幸運のシンボルとされています。
※2…複郭式(ふくかくしき)とは、本丸の周囲に複数の曲輪(くるわ)を配置した城郭(じょうかく)の縄張の形式です。複数の郭を配置することでより広範囲を防御し、城の構造を複雑にすることが可能になります。

日本一の山城富田城の見どころの最初のパネル。富田城が日本一の山城について記載されてます
日本一の山城富田城の見どころの最後のパネル。櫓、七曲り、堀について記載されてます

戦国時代、数多くの合戦を経験した月山富田城。その細密なジオラマを前にすると、当時の城の堅牢さが一目で分かります。周辺の山々や谷、城下町まで丁寧に再現されており、現地の空気感をそのまま体験できるような臨場感です。
このジオラマを通して特に印象的なのは、月山富田城が山々に囲まれた要害に築かれていること。四方を急斜面や深い谷に守られており、攻め手にとっては非常に難しい立地であることが分かります。実際、ここでの数々の防衛戦では地形が大きな味方となりました。
月山富田城の見どころや堅固な城の守りについて詳しく解説されています。地形を活かした防御の工夫や、城の構造にまつわる興味深い情報が分かりやすく紹介されており、戦国時代の城の知恵を学ぶことができます。
ジオラマ鑑賞、パネルを通じて、“難攻不落”と言われた理由に心から納得できました。城と自然の調和、そして守りの智慧を垣間見ることができる貴重な体験です。

 

戦国大名の足跡で辿る――パネルで知る月山富田城の歴史

戦国の名城・月山富田城にゆかりのある戦国大名たちの業績や人物像をわかりやすく紹介するパネル展示が設けられています。城主・尼子氏をはじめ、攻防に関わった大名たちのドラマがビジュアルとともに丁寧に解説されており、戦国時代の興亡や城の歴史をより深く知ることができます。

尼子氏について記載されてます
毛利氏について記載されてます
吉川氏について記載されてます
堀尾氏について記載されてます

 

伝統工芸「広瀬絣」――藍の濃淡が描き出す山陰の美

複数の広瀬絣の機織り機。音が心地良いです
絣板(かすりいた)。糸を絣板に巻き付けて部分的に染め分けることで、柄の元となる糸を作り、絣板に並んだ白い糸の部分と緑色に染められた部分が、織り上げたときに模様として現れる仕組みです
藍染め用の大きな染料甕(かめ)

広瀬絣(ひろせがすり)は、1824年に町医者の長岡謙祥(ながおかけんしょう)の妻、長岡貞子(ながおかさだこ)によって米子町から染色技術が広瀬に伝えられ、町内の女性たちに広められたことに端を発します。
特徴は、正藍染めによる濃淡を活かし、大柄な絵文様と幾何模様を組み合わせた大胆かつ精密なデザイン。これは山陰の三絵絣(鳥取県米子市、境港市で生産されている弓浜絣(ゆみはまがすり)、鳥取県倉吉市で作られている倉吉絣(くらよしがすり)、島根県安来市広瀬町で生産されている広瀬絣)のひとつとされています。
現在も伝習所で技術が守られており、館内には多くの機織り機が並び、伝習生がリズミカルに織り上げる様子を間近で見学できます。「カタン、カタン」という織り機の音が心地よく響き、訪れる人に懐かしさと安らぎをもたらします。
広瀬絣は、使うほどに風合いが増して部屋に飾るだけで穏やかな落ち着きを演出する魅力あふれる工芸品です。

道の駅に隣接している広瀬絣センターに広瀬絣の機織り機、緯綜台(よこへだい)染め物工房の床に据えられた藍染め用の大きな染料甕(かめ)がありました。実際に機織り機で織っている姿を間近で見学することができます。丁寧に糸を操る手元や、リズミカルな機織りの音に耳を澄ましているとどこか昔懐かしい雰囲気が漂い、まるで時代をタイムスリップしたかのような不思議な感覚が味わえます。
 

地元の味を堪能――「そばうどん処尼子」でそば定食と天ぷらを味わう

そば定食と天ぷらのセット。割子そばに薬味(ネギ、もみじおろし、刻みのり、かつお節)をお好みで乗せて、右下のそばつゆをかけて食べます。真ん中のご飯は炊きこみごはんになってます

ちょうどお昼時だったので、広瀬絣センター内の「そばうどん処尼子」でそば定食と天ぷらを注文しました。地元産のそばを使った割子そばは初めての体験。薬味を好みでいろいろと加えて楽しめるのが特徴で、風味豊かでとても美味しくいただきました。
天ぷらは4~5種類が盛り合わせになっており、中でもミニトマトの天ぷらは初めての味わい。サクッとした衣とトマトの甘みが絶妙で、印象に残る美味しさでした。
 

名城を巡る旅路の途中で、安来の恵みに触れて

月山富田城跡には足を運べなかったものの、安来市立歴史資料館で月山富田城の歴史に触れ、広瀬絣センターでは伝統工芸「広瀬絣」の美しさに感動し、そばうどん処尼子で地元のそば定食と天ぷらを堪能することができました。歴史と文化、そして食の魅力を存分に味わえた充実のひとときとなりました。
そば定食で腹を満たした後、外に出ると雨が降っていて次の目的地を迷っていました。しかし、ほどなく雨は上がり、静かな雲の切れ間から陽が差し始めました。心も晴れやかになり、せっかくの機会だからと同じ県内にある国宝のお城へ足を運ぶことに決めました。思いがけない晴れ間に背中を押されながら、旅路は新たな歴史との出会いへと続いていきます。

 

バリアフリートイレ情報

ストメイト対応流し:無 オムツ台:有

バリアフリートイレの前のあるスロープ
バリアフリートイレ内部の写真。洗面台や左にオムツ交換台があります


※詳しい詳細に関しては下記HPをご確認願います
<道の駅広瀬・富田城HP>

<安来市立歴史資料館HP>

写真・文/大ちゃん
 



<自己紹介>
◯ハンドルネーム/大ちゃん(大仏ガンタンク)
◯年齢/46歳
◯障害名/胸椎損傷 30年車いす使用
〇移動手段/車いす(自走)と車
◯趣味/横浜F・マリノスサッカー観戦
    ダーツ
    お城、お寺、神社、道の駅、夕陽巡り
◯座右の銘/明るく、楽しく、一日ひと笑い
      弱気は最大の敵
 


 

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