デジタルテクノロジーによるアートの最前線を体感できる「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」
 麻布台ヒルズに移転し、さらに進化を遂げたこのミュージアムは、境界のないアート群による「地図のないミュージアム」をコンセプトに、訪れる人々の身体ごと作品の中に溶け込ませます。
 特に車いすユーザーの皆様にとって、物理的な制約を感じさせないデジタルテクノロジーによるアートの素晴らしさは強く心に残るはずです。

 描かれる作品は、来場者の動きや存在に呼応し、絶えず変化し続けます。これにより車いすでも、アート作品を「見る」だけでなく、空間全体を移動しながらアート作品の一部として「体験」することが可能です。

 本記事では、チームラボボーダレスのアート作品がもたらす、驚きと感動の鑑賞体験を、らくゆくスタッフの車いすユーザーである「大ちゃん」と「メイちゃん」が、アート作品の魅力とともに詳しくご紹介します。

 車いすでの入場は可能ですが、安全管理上、体験できない作品や台数制限がある点も念頭に置きつつ、代表的な作品を紹介していきます。


人間はカメラのように世界を見ていない》

 エントランス空間の指定位置からカメラを通して見ると、「teamLab Borderless」の文字が空間に浮かび上がり、正体します。しかし、同じ場所を肉眼で直接見ても文字は現れません。
人間はレンズのように世界を見ていない。 

エントランス通路で車いすの男性と女性が並んでいるようす

 


目次 

 


《花と人、コントロールできないけれども共に生きる – A Whole Year per Hour》

 作品空間全体に季節の花々が誕生、成長、そして散っていく様子がリアルタイムで描かれます。花々は来場者が立ち止まったり、触れたりすると、その影響を受けて散ったり、さらに咲き誇ったりと、鑑賞者との相互作用によって変化し続けます。
 車いすで空間を移動するだけでも、花の動きが変化し、まるで自然の中に身を置いているような没入感を得られます。

広い部屋の壁に色とりどりの花が咲き乱れる映像

チームラボ《花と人、コントロールできないけれども共に生きる – A Whole Year per Hour》©チームラボ

花が咲き乱れる映像の壁の前で笑顔の車いすの男性
花が咲き乱れる映像の壁に手を付いている車いすの女性
滝のような映像の壁の下で目をつぶり手を合わせて何かを祈る車いすの女性

▲メイちゃんの滝行!

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《Moving Creates Vortices and Vortices Create Movement》

 空間に広がる光の渦や流れが、来場者の動きによってダイナミックに変化します。来場者自身がエネルギー源となり、アートの生成と変形に関与します。
 車いすの移動も、この境界のないアートの一部となり、物理的な「移動」がアートを「創造」するプロセスを体感できます。

広い部屋の壁には花が咲き誇り、床に光の渦や流れが広がっているさま

チームラボ《Moving Creates Vortices and Vortices Create Movement》©チームラボ

光の渦や流れの中で戯れている車いすの男性
光の渦や流れの中で戯れている車いすの女性

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《増殖する無量の生命 - A Whole Year per Year》

 緻密に描かれた生命(花々)が、無限に増殖と死を繰り返す、生命のサイクルを表現した作品です。鑑賞者の動きによって影響を受け、生態系が変化します。

広い部屋の壁に広がる無数のオレンジ色の花

チームラボ《増殖する無量の生命 - A Whole Year per Year》©チームラボ

2輪咲くオレンジ色の花の映像の前で笑顔の車いすの男性と女性
3輪の花の映像を眺める車いすの女性

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《Infinite Crystal World》

 無数の光の点によって立体物が構成される世界。来場者のスマートフォン操作によって光の色やパターンが変化し、空間全体がインタラクティブに反応します。
 車いすからでも、手元の操作でアートを創造・変形させる体験が可能です。

無数のブルー系の光の点によって構成されたオーロラみたいな映像

チームラボ《Infinite Crystal World》©チームラボ

無数の赤系の光の点によって構成された映像

チームラボ《Infinite Crystal World》©チームラボ

無数のクリスタル系の光の点によって構成された映像の前にいる車いすの女性
無数の赤系の光の点によって構成された映像の前にいる車いすの男性

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《Walk, Walk, Walk》

 匿名で多様な肖像群が自由に歩き回り、空間の壁を越えて移動する様子が描かれます。来場者が彼らに触れると、彼らは反応し、時には方向を変え進んでいく道を変えます。
 肖像群が壁や床、さらには鑑賞者の身体をも透過して一体化するような表現が、空間の広がりを無限に感じさせます。車いすで作品の中を自由に移動することで、この「自由無碍」な世界観を深く体感できます。

多様な肖像群が林の中を歩き回る様子

チームラボ《Walk, Walk, Walk 》©チームラボ

壁に映し出される牛のような動物の顔に手を付いている車いすの女性

▲肖像画に触れるとこちらに向いてくれる

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麻布台ヒルズ限定《Bubble Universe:光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》

 多数の光の球体で埋め尽くされた空間。人が立ち止まると、最も近い球体が強く輝き、球体の光は、それぞれの球体から常に最も近い球体へと連続していきます。光の連続性の美しさを模索した作品で、まるで宇宙空間に迷い込んだような幻想的な体験を提供します。

多数の光の球体(バブル)で埋め尽くされた空間

チームラボ《Bubble Universe: 光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》©チームラボ

多数の光の球体(バブル)で埋め尽くされた空間の中で笑顔の車いすの男性
光の球体(バブル)に手を近づける車いすの女性

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《スケッチオーシャン》

 来場者が描いた海の生き物の絵が、巨大な海の世界で泳ぎだす参加型作品。描かれた生き物は他の来場者が描いた生き物と交流し、一つの生態系を形成します。
 描かれた絵をスキャンすると、リアルタイムで作品の中に描き出します。
 車いすでも、描画の行為を通じてアートの創造と世界への参加を楽しく体験できます。

広い部屋の壁や床に海の中を描かれた魚たちが泳ぎ回るようす

チームラボ《スケッチオーシャン》©チームラボ

らくゆくスタッフのお絵描き体験!
 大ちゃんとメイちゃんが魚のイラストを描き、その絵をスキャンすると、目の前の海には二人が描いた魚が泳ぎだします。泳いでいる魚に触れると、魚は素早く逃げるなどリアルな反応を見せます。また、エサ袋に触れることで、魚にエサを与えることもできます。 
 時には、魚たちが部屋の外に出て、他の作品の境界を越えて泳ぎ出すこともあります。マグロは世界中の《スケッチオーシャン》へ泳いで行くことがあり、逆に、世界のどこかで描かれたマグロが、目の前の《スケッチオーシャン》へやってくることもあります。

大ちゃん

車いすの男性が魚の絵を描いているようす

メイちゃん

車いすの女性が魚の絵を描いているようす
車いすの男性が描いた魚の絵を胸の前で掲げているようす
車いすの女性が描いた魚の絵を胸の前で掲げているようす
車いすの男性が描いた魚が泳いでいるようす
車いすの女性が描いた魚が泳いでいるようす

 

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「EN TEA HOUSE-幻花亭」:《小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々》

 茶碗に注がれた茶に花々が咲き、茶を飲むと花が散るという、「茶」と「アート」が融合した体験型の作品です。
 お茶を飲む行為を通じて、器の中に花々が咲く作品。茶を飲むと花が散り、その場限り、一期一会の世界が生まれます。

テーブルの上で運ばれてきたお抹茶のグラスの中に花の映像が映し出されるようす

チームラボ《小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々》©チームラボ

テーブルの右側は抹茶のグラスの中に花の映像が映し出され、左側にはゆずのアイス入りのグラスからゆずの木の映像が生えてきている

「EN TEA HOUSE-幻花亭」:《茶の木》

「凍結された茶」を置くと、そこから茶の木が生えていく。
「凍結された茶」を動かすと、茶の木は枯れ、新たな場所で再び生える。凍結された茶がなくなると、茶の木は枯れてなくなっていく。

テーブルの左側は抹茶のグラスの中に花の映像が映し出され、右側には抹茶のアイス入りのグラスから茶の木の映像が生えてきている

チームラボ《茶の木》©チームラボ

テーブルの右側は抹茶を飲み切ったグラスの中の花が枯れ始めた映像が映し出され、左側には抹茶のアイス入りのグラスから茶の木の映像が生えてきている

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【アート作品の鑑賞体験について】

らくゆくスタッフ:大道寺 清(大ちゃん)
この度、チームラボボーダレスのデジタルテクノロジーによるアート作品を鑑賞しました。最新テクノロジーと芸術が融合した空間に足を踏み入れた瞬間、美しさと幻想的な雰囲気に胸が高鳴りました。色彩や動き、音と光が織りなす世界は非日常の体験で、作品ごとのメッセージやストーリーにも心を揺さぶられました。デジタル技術の可能性に深く感動し、豊洲や京都にもチームラボのミュージアムがあると聞き、ぜひ訪れてみたくなりました。

らくゆくスタッフ:佳山 明(メイちゃん)
車いすで麻布台ヒルズのエプソン チームラボボーダレスのアート作品を鑑賞しました。
カラフルでキラキラした空間は省スペースや暗さもありながら、車いすでもストレスなく回遊できて感激。触ると動く作品や、「スケッチオーシャン」で、お絵描きした魚が泳ぎ出す体験はとてもワクワクしました。
漢字をモチーフにしたアートや、ティールームでお抹茶や和アイスも楽しめて、外国の方も多く本当に“ボーダレス”を実感できる素晴らしい時間でした。

【編集後記】
エプソン チームラボボーダレス(麻布台ヒルズ)は、車いすでも自由に移動しながらアートの世界に没入できる素晴らしい空間でした。最新のデジタル技術が生み出すボーダレスな体験に心から感動しました。メンバーの皆様には取材中も丁寧なご案内とご配慮をいただき、安心して取材を進めることができました。心より感謝申し上げます。
 

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バリアフリートイレ

麻布台ヒルズガーデンプラザ地下1階の地図
バリアフリートイレの外側から見た写真
バリアフリートイレの中を写した写真

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【ミュージアム概要】

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
#チームラボボーダレス #teamLabBorderless
麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1(東京都港区虎ノ門5丁目9)


【障がい者割引について】
・障がい者手帳をお持ちの方ご本人様と同伴者1名まで、障がい者割引でチケットをご購入頂けます。(子どもチケットの割引はございませんが、子どもチケットで障がい者手帳をお持ちの場合、同伴者1名まで障がい者割引チケットをご購入頂けます)
 入場ゲートで手帳の確認を行いますので、同伴の方はご一緒にご入場ください。
 各国で発行された障がい者手帳も対象です。
 手帳の代わりに障害者手帳アプリ「ミライロID」もご利用いただけます。

【お身体の不自由な方へ】
・車椅子・ストレッチャーでのご入場は、エレベーターをご利用いただけます。
(エレベーター 入口:1000mm・内法(W×D):1600mm×1350mm)
ストレッチャーでのご入場は、上記寸法内であれば可能です。
※上記寸法を超える場合、車椅子にお乗り換えいただければご入場可能です。
・車椅子、ストレッチャーでのご入場は可能ですが安全管理上、ご入場、ご体験いただけない作品(車椅子では通れない作品)がございます。詳細は代表電話へお問い合わせ下さい。
・車椅子、ストレッチャーでの入場可能台数には制限がある為、ご入場をお待ちいただく場合がございます。
・ハンドルのあるシニアカートや、時速2km以下に制御できない電動車椅子の場合は、お客様・施設・作品などの安全確保、事故防止の観点より(安全配慮の都合上)、館内用車椅子へのお乗り換えを必須とさせていただいております。
・床が鏡面になっている作品については、総重量250kg以上の方は鑑賞をご遠慮いただく場合がございます。
 作品に入る際はスタッフがご案内し、床面の状況により鑑賞可否を判断させていただきますので、ご了承ください。
・杖での入場は可能です。
・安全配慮の都合上、移動にサポートが必要な方は同伴者とお越しください。

【アクセス】電車の場合
東京メトロ日比谷線『神谷町駅』5番出口より、地下道直結。
セントラルウォークを通ってチームラボボーダレス入口まで車いす自走約5分。
地下道なので雨でも濡れずに移動できます。

ガーデンプラザの地下1階の地図。神谷町駅5番出口からチームラボボーダーレス入口までを示した図

神谷町駅改札付近

神谷町駅改札付近から先の通路を写した写真


【アクセス】車の場合
・麻布台ヒルズP6駐車場(地下3階)を利用してください。

麻布台ヒルズ周辺の道路とP6入口を示した図

 障がい者用駐車スペースは222427番です。
 近くにCエレベーターがありますが、Ⅾエレベーターを利用してください。
 ⅮエレベーターでB1まで上がると、チームラボボーダレス入口が左側にあります。

Ⅾエレベーター入口とチームラボボーダレス受付カウンターの写真

▲Ⅾエレベーター(B1F)

チームラボボーダレス受付カウンター

▲受付カウンター

地下3階のⅮエレベーターホールの入口

▲Ⅾエレベーター(B3F)

障がい者用駐車スペース22番を写した写真

▲22番駐車スペース

障がい者用駐車スペース24番を写した写真

▲24番駐車スペース

障がい者用駐車スペース27番を写した写真

▲27番駐車スペース

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文:神戸剛(脊髄損傷)大道寺清(脊髄損傷)佳山明(脳性まひ)
写真:小川・寺川