11月19日に味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた射撃会場の様子をお届けします。
今回取材した種目は、日本代表の高桑昭紀選手も出場する「50mライフル伏射」です。競技についての基本的な情報や、高桑選手についてもご紹介します。


目次


50mライフル伏射のポイント

ライフル射撃には3つの姿勢があります。立ったまま射撃する立射(りっしゃ)、膝立ちの状態で射撃する膝射(しっしゃ)、そして腹ばいになった状態で射撃する伏射(ふくしゃ)です。
伏射はこの中で最も安定した姿勢で行うため、得点が高くなりやすく、654点満点中600点以上が出ることも珍しくありません。まさに1ミスが勝負を分ける、プレッシャーとの闘いになります。

制限時間は50分で、60発の射撃を行います。選手には、緊張や焦りの中でも失敗に引きずられず、調子を崩さず撃ち続ける強いメンタルが求められます。

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高桑選手の紹介

高桑昭紀選手は石川県金沢市出身、1940年12月9日生まれの84歳。
6年前から耳が聞こえにくくなり、現在右耳の聴力はほとんどなく、左耳に補聴器を付けています。
射撃の経験は40年以上※1、全日本マスターズでは5連覇を達成したこともある実力者です※2

デフリンピックには今回が初出場。日本代表選手の中では最年長ということもあり、期待が寄せられています。

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競技の様子

高桑選手は予選グループ2で、競技は午後開始となりました。

各国選手の記録が続々と出る中、ついに高桑選手の競技が開始しました。

赤と白のスーツを着たポーランド代表の射撃

ポーランド代表

黄色と青のスーツを着たウクライナ代表の射撃

ウクライナ代表

緑と青のスーツを着て、赤い鉢巻を巻いた高桑選手

高桑選手の射撃の様子

スコープを除く高桑選手のアップ

ステッカーやグローブから年季が感じられます

背中側から撮影した高桑選手と、右側のモニター

右側のモニターには着弾位置や点数が表示されます

タイマーに6:43と表示されている

残り時間はあとわずか…

モニターの着弾位置は8点台、9点台が目立つ

10点圏を外すと厳しい世界。やや着弾が散っている印象です

終了後、立ち上がった高桑選手

競技終了。お疲れさまでした

高桑選手の得点は575.7点。目標としていた600点台には届かず、残念ながら予選敗退となりました。

決勝進出はなりませんでしたが、50分という長い競技時間を戦い抜いた高桑選手の健闘に拍手を送りたいと思います。

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競技を終えて

記者会見では、「思うように的が定まらなかった」と残念そうに述べた高桑選手。想定以上に緊張してしまい、心臓の鼓動が指先まで伝わってしまったそうです。

一方で、高桑選手の挑戦はまだまだここからのようです。次回の2029年デフリンピックにも出場したい、以前海外で出会った94歳の選手を超えるまで競技を続けたいと語っていました。

残念そうに競技を振り返る高桑選手

次回出場に向けてガッツポーズ

最後に、射撃は年齢を重ねても取り組めるスポーツなので、ぜひ皆さんにも挑戦してもらいたいと呼びかけていました。

高桑選手、本当にお疲れさまでした。ぜひ次回のデフリンピックでリベンジしてもらいたいです。

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文・写真:ノア