12月3日から9日までの1週間は「障害者週間」です。
この期間は障がい者関連のイベントやキャンペーンが開催され、同時に障がい者のシンボルでもある「イエローリボン」を目にする機会もあるでしょう。

イベント参加などを通じて「障がい者をより理解するためには、どんな声かけをすればいいだろう?」「お互いの負担を軽くしつつも、安心して周囲からサポートを受けるために当事者にもできることはあるのだろうか?」と、考えるシーンもあるかもしれません。

この記事では、「障害者週間」と「イエローリボン」の概要と、「初対面の障がい者とのコミュニケ―ションの取り方」について、当事者でもある私の視点も交えて紹介します。

【目次】

  1. 【障害者週間の概要】なぜ12月なのか?
  2. 【イエローリボン解説】個性を尊重しあう意思の象徴
  3. 【当事者とのコミュニケーション】 双方がストレスなく理解・交流するために
  4. この一週間を、365日の意識に変えよう

1. 【障害者週間の概要】なぜ12月なのか?

そもそも、なぜ障害者週間は12月3日から12月9日までなのでしょうか?
これは、障がい者をめぐる日本と世界の障がい者に対する想いのつながりによるものです。

法的根拠と期間
障害者週間は、日本の「障害者基本法」に基づいて定められています。
障害者基本法は、障がい者の自立と社会参加に関して、支援の基本原則を定めた法律です。
この法律により、かつては12月9日が「障害者の日」とされていました。 12月9日は、1975年に国連で「障害者の権利宣言」が採択された日でもあります。
そして平成16年の法改正にともない、国民がより障がい者に対する関心と理解を深め、また障がい当事者の自立と社会参加を促すことを目的として、国連が12月3日と定めていた「国際障害者デー」と含めて「障害者週間」となりました。

二つの大きな趣旨
障害者週間の目的は、以下の二つの柱から成り立っています。

国民が障がい者への理解の深化: 障害や障害当事者に関心を持ち、彼らを取り巻く状況や法制度について理解することで、差別意識を解消する。
障害者の社会参加促進: 障がい者が積極的に自立できる社会づくりを推進するために、当事者自身が環境整備や意識改革の重要性に気づくこと。

障害者週間は、単なる差別防止の啓発活動に留まらず「障がいの有無に関係なく、安心かつ快適に生活できる社会づくりに何が必要か?」を考える期間です。

参考:内閣府ホームページ

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2. 【イエローリボン解説】個性を尊重しあう意思の象徴

国際的な障害者運動や、障害者週間のシンボルとして「イエローリボン」があります。その鮮やかな黄色には「希望」「豊かさ」「輝き」などを象徴しています。
イエローリボンには、障がい者への理解、そして当事者の自立といった願いが込められています。
しかしこの願いは、一方的な援助や要求で達成できるものではありません。
当事者と周囲がお互いに学びあい、協力することによって真の意味での「共生できる社会」づくりのスタートラインに立てるのです。
イエローリボンを持つことは「私は障がい者について深く学びたい」「障がいがあるけれど、自立した社会生活を送るために勇気をもって行動したい」という意欲を示すことにもなります。

参考: 日本障害者フォーラム

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3. 【当事者とのコミュニケーション】双方がストレスなく理解・交流するために

車いすの男性と、その後ろでしゃがんでOKのハンドサインをする女性

障害者週間には、各地で障がい者に関するイベントやキャンペーンが開催されます。 この機会に、障がい者福祉に関心を持つきっかけにもなるでしょう。
同時に「福祉の知識がなく、どう障がい者と接すればいいのかわからない」「SNSで仲良くなった人に、障がいをカミングアウトされたが、自分にできることはないか?」「障害があっても趣味の集まりに参加して友人を作りたい。でもなかなか勇気が出ない」といった悩みを持つこともあります。
コミュニケーションに「正解」は決してありません。ですがここでは障がい者向けメディアのライターであり障がい当事者でもある立場として、私が心がけている「相手を安心させる声掛けの工夫」と「自分が少しでも安心して声を出すためのマインド」の一例を紹介します。

当事者と接するときは

障がいの有無を問わず、初対面の人と接する時は、誰もが緊張するものです。私自身も人見知りなので「話してみたいけれど、今声をかけていいものか?」「相手の機嫌を損ねるようなことを言ってしまわないか?」と考え始めて、せっかくの交流のタイミングを逃してしまった・・・という経験をよくします。 なので、人と接する時は、次のことをよく心がけています。

(1)深呼吸をして、まずは「はじまりの一言」を踏み出す
例えば、困っている様子の人がいたら、まず声をかけましょう。緊張していたら、まずは一呼吸おいて、「何かお困りですか?」「手伝うことはありますか?」と、落ち着いてはっきりと、その一言だけでも投げかけてみてください。
この場面で大事なのは「話した結果」ではなく「声をかける(=行動に移す勇気を持つ)ことができたか?」が重要です。
(2)相手の目線に合わせて、環境を整える
当事者と話す時は、なるべく相手の目線に合うように姿勢を変えましょう。 例えば車いすの人と長時間話す場合は、こちらも椅子に座る、安全な場所に移動してしゃがむといった工夫があります。
ネット上での交流で相手の障がいについて話を聞く場合は、アプリやサイトの機能によっては第三者にやり取りが見えてしまう可能性があるので、その点にも注意が必要です。また画像や動画を見ることができない、理解が難しい特性を持っている人には、その内容について説明をしたりALT(代替えテキスト)を付けるといった配慮もしましょう。
(3)相手の希望と、自分の状況を話し合う
まずは、当事者がどんなサポートを受けると助かるか、そしてどんな状況だと負担を感じるか? といった希望を聞きます。
障がい者のサポート手段は同じ障がいであっても個人差が大きいものです。私自身も視覚障がい者ですが、弱視で多少は見えており、かつ人見知りな性格なので全盲で社交的な人とは希望するサポート内容がまったく異なる可能性があります。

当事者の希望と、声を掛ける側である自分自身の状況(ができること、できないこと)も含めて「お互いが快適にともに過ごせる距離感」を考えていきましょう。

当事者ができること

周囲の人に自身の障がいを打ち明け、助けを求めることは勇気がいるかもしれません。
私も、オンライン上のやり取りだけでは一見視覚障がい者とは思われにくいようで、いざ実際に会うことになった時には「どのタイミングで自分の障害のことを詳しく話そうか?」と悩むことも多いです。
その中でも、相手の安心のために心がけていることを挙げてみます。

(1)「手伝ってほしいこと」を具体的に伝える勇気
周りの人が困惑するのは、「どう手伝ったらいいかわからない」からです。なのでまずは、当事者のほうから「こうしてほしい」と切り出すことが重要です。
私の場合は、その日の体調や天気によって周囲の見やすさが異なるものの、なるべく自分の力で目的地まで到着したいという気持ちもまだ残っています。 なのでまずは自分に障がいがあることを伝えたうえで「追いつくまで待ってほしい」「案内の看板を説明してほしい」「暗い場所なので、今は手を引いて誘導してほしい」「ここは自力で歩けます」など、具体的に説明をして、助けてほしい部分と自分でできることが明確になるように日々模索しています。
(2)感謝の気持ちを忘れずに
障がいがあると、どうしても周囲からの助けを必要とする場面が多くなります。 その時、無力感から思わず「すみません」「申し訳ない」といった言葉が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、障がいを負っている自分自身を責める必要はどこにもありません。 自分自身が悩んだり、つらくなっている時こそ、手を差し伸べてくれる人たちへの労いの気持ちをしっかりと伝えましょう。
ほかの当事者のことも意識する
自分以外の障がい者のことを考えてみるのも、当事者の大切な役割です。
一言で「障がい者」といっても、そのあり方は多岐にわたり、同じ障がい種別でも特性の程度にはグラデーションがあります。

より多様な生き方の人々と気持ちを分かり合い、時には意見しあうことは視野を広げ、自身の心の安定と障がいの受容にもつながります。
障がいの有無を問わず、完璧な配慮を目指すのではなく、まずは一人の良心を持った人間として誠実な対話と相手への敬意を考えることから始めてみましょう。

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4. この一週間を、365日の意識に変えるために

手帳と時計のイメージ

障害者週間は、単なる7日間で終わるイベントではありません。
「福祉について考えてみたい!」「障がいを持っているけれど、より多くの人と交流してみたい」と思い、行動するタイミングはあなた自身が決めるものです。
同時に、一回の交流で終わらず障がいの有無を超えて安心してコミュニケーションを取れる関係を維持すること。それこそが多様性のある豊かな社会づくりにつながります。

障害者週間が終わった後も「心のイエローリボン」を大切にして一年後につなげていきましょう。

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