2025年10月に開催された「全国アビリンピック」のホームページ部門にて、筆者が金メダルを獲得しました! 連載形式で、優勝に至るまでの軌跡をお届けします。第1回となる今回は、アビリンピック東京大会へ出場することになった意外な経緯をお話しします。初めて読む方は、ぜひ第0回からご覧ください。
目次
始まりはいつもの昼食だった
私が仕事を進める上で、最も楽しみにしている時間の一つがランチタイムです。ほぼ毎日、会社が契約している宅配弁当屋さんの日替わり弁当を食べています。これが税込400円という、今時かなりの「神コスパ」でして、お弁当の蓋を開けるたびに地球と弁当屋さんの偉大さに手を合わせて感謝しているほどです(そのお弁当屋さん「上むら」の公式インスタはこちら)。
そんなある日の昼下がり。いつものように、車いすユーザーの同僚「オーさん」と昼食を囲んでいた時のことでした。
アビリンピックのポスター見ました?
オーさん:「ジュンさん、タイムカードの横に貼ってあるポスター見ました? 『アビリンピック』の選手募集のやつ」
私(ジュン):「あー、そういえば貼ってありましたね。アビリンピックって、障がい者による技能競技大会(技能オリンピック)みたいなものでしたよね」
オーさん:「俺、それの『ホームページ』競技に出ようかなと思っているんですよ。あれだったらジュンさんも一緒に出ませんか?」
私:「え、僕ですか!? いやいや、出ませんよ! 興味ないですし、体調良くないですし……。っていうか、そもそも同じ会社から同じ競技に何人も出られるんですか?」
するとオーさんは、ニヤリと笑ってこう続けました。
オーさん:「まぁ、その辺は運営側に聞けばわかる話で。それよりジュンさん、この競技会場の近くに『テルメ小川』っていう、個人的にかなりオススメのスーパー銭湯があるんですが、行ったことありますか?」
私:「テルメ小川ですか? それはノーマークのサウナ施設、もとい、スーパー銭湯ですね……。そんなにいいんですか?」
オーさん:「ええ。僕はね、なんていうか、『スーパー銭湯に行くついでに参加する』くらいの気楽な感じでもいいと思うんですよ。それにほら、ホームページ制作はジュンさんの業務(ウェブアクセシビリティ診断業務。思い切り簡単に説明すると、全盲の方でも問題なく閲覧できるサイトかを確認する仕事)に直結していますし、絶対にスキルアップになると思うんですよね」
私:「まあ、確かに実務には役立ちそうですね。んー……。分かりました、そのスーパー銭湯のサウナが気になります。うん、じゃあ、記念受験のような感じで、一緒に参加しましょうか」
オーさん:「おー、よくぞ決断しました! 決まりですね! 二人で出場できるか、早速総務に確認してもらいましょう!」
というわけで、主催団体(JEED:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)に問い合わせたところ、複数名の出場もOKとの回答が。オーさんと私は揃って「ホームページ」競技にエントリーし、約1ヶ月後、無事に出場通知が届きました。
周囲の社員からは「それじゃあ二人で金銀ワンツーフィニッシュの争いですね!」とからかわれましたが、私は苦笑いしながら心の中で、『僕はサウナに行ければそれでいいんですよ……』と唱えていました。今思えば、これが全ての始まりだったのです。
【補足】JEEDって何?
ここで少し解説を。JEED(読み:ジード)とは「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の略称で、厚生労働省が所管する独立行政法人です。

主な役割は、「高齢者の雇用支援」「障がい者の職業リハビリテーション」「求職者の職業訓練」という3つの柱を支えること。その障がい者支援の大きな活動の一つが、私たちが参加する「アビリンピック(障害者技能競技大会)」の運営です。
アビリンピックは、障がいのある方々が日頃培った技能を互いに競い合い、職業能力の向上と社会の理解を深めることを目的としています。地方大会から全国大会、さらには国際大会まで繋がる、まさに「技能の祭典」。JEEDは、働く意欲を持つ人を多角的にバックアップしてくれる、非常に心強い組織なのです。
次回予告
「まぁ、付き合いだし、気楽に行こう。サウナが楽しみだ。何だかんだでオーさんには感謝だな……」そんな風に考えていた私を待ち受けていたのは、想定外の事実でした。もし事前にこれを知っていたら、出場を決意することはなかったでしょう。
「感謝」から「驚き」へ、「驚き」から「怒り」へ、そして「怒り」から「復讐」へ。私のアビリンピック奮闘記は、まだ始まったばかりです。次回をお楽しみに!
関連リンク
次回(第2回)の記事を読む
前回(第0回)の記事を読む
アビリンピック 公式サイト(外部リンク)
小平天然温泉テルメ小川 公式サイト(外部リンク)
文/ジュン
<自己紹介>
ハンドルネーム:ジュン
年齢:51歳
障害名:30代後半より双極性障害
趣味:サウナ、ボードゲーム
特技:すべてに感謝する姿勢(ふとコンビニの便利さに気付き涙したことも)
座右の銘:ゲームとは人生である
