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ESSAY //// Views-427

瀬戸の夕焼け

週刊連載エッセー(2月14日)

島々は次々に動いて、こちらにやってくるような気がしました。
早春、中高年向けの瀬戸内海の船旅に行ったときのこと。橋をくぐり、美しい海と島々を見て航行。
やがて日暮れになると、空があざやかな夕焼けに染まり、おだやかな瀬戸の海がそれを映しました。一面の夕焼け色。船のデッキの人はみな、息をのんで見ていました。私は振り返ってみんなの顔を見ました。たくさんの夕焼け色の顔を。
どの人の顔からも、がんばってきた人生の月日を感じました。隣のつえをついた老男性に「きれいな夕焼けですね」と話すと「はい。来てよかったです」と深くうなずきました。夕焼けを浴びているみんなの明日が、幸せに暮らせそうな気がしました。

 


・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
ⒸKyoko Namiki,Makiko Inada&upon factory 
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月30日号 食卓を片付けながら
※9月  6日号 庭のブドウの樹
※9月13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で
※10月4日号 多摩川の鉄橋で
※10月11日号〝新米の力〟
※10月18日号 今夜の君は美しい!
※10月25日号〝湯気マジック〟
※11月 1日号 日本のお母さんの手
※11月 8日号   紅葉を楽しみに
※11月15日号 花の〝花道〟に
※11月29日号  ボージョレ・ヌーボーの季節
※12月  6日号  年の瀬に向かって
※12月13日号 母の口紅
※12月20日号 おつき合いは、シンプルに
※12月27日号 急なお客さまに……
※ 1月 3日号 新年の抱負
※ 1月10日号 名前で呼んでください
※ 1月17日号 義姉のピアノ
※ 1月24日号 日本の雪
※ 1月31日号 全員が、天ぷらうどん
※ 2月 7日号バレンタインデーの季節です