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ESSAY //// Views-437

東日本大震災から、11年です

週刊連載エッセー(3月7日)

東北の海辺の街で、東日本大震災にあい、津波で母親を亡くした幼い姉妹を、震災直後わが家で少しの間お世話したことがあります。妹は当時まだ小学校低学年。この11年、会いに行ったり会いに来たり。手紙で励ましたり。何年か前、転居した住まいを訪ねました。なぜこの父子で暮らす新しい家に母親がいないのかと、心の中で泣きました。
震災復興ソング「花は咲く」の中に「わたしは何を残しただろう」という歌詞がありますが、その歌詞を聞くたびに姉妹の母親が問うている声が聞こえて来る気がして、その母親に「立派にふたりのお子さんを残しましたよ」と答えています。

姉妹はもうあなたの背を越しました。スクスクと育っています。私の生きているかぎり、見守りますね。

 


・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月30日号 食卓を片付けながら
※9月  6日号 庭のブドウの樹
※9月13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で
※10月4日号 多摩川の鉄橋で
※10月11日号〝新米の力〟
※10月18日号 今夜の君は美しい!
※10月25日号 〝湯気マジック〟
※11月 1日号 日本のお母さんの手
※11月 8日号   紅葉を楽しみに
※11月15日号 花の〝花道〟に
※11月29日号   ボージョレ・ヌーボーの季節
※12月  6日号   年の瀬に向かって
※12月13日号 母の口紅
※12月20日号 おつき合いは、シンプルに
※12月27日号 急なお客さまに……
※ 1月 3日号 新年の抱負
※ 1月10日号 名前で呼んでください
※ 1月17日号 義姉のピアノ
※ 1月24日号 日本の雪
※ 1月31日号 全員が、天ぷらうどん
※ 2月 7日号 バレンタインデーの季節です
※ 2月14日号 瀬戸の夕焼け
※2月21日号  あたりまえの毎日が……
※2月28日号  ひな祭りの前夜