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ESSAY //// Views-314

ひとつ先の踏切で

週刊連載エッセー(7月18日)

先日、用事があって、近所の踏切よりひとつ先の踏切を通ったときのこと。踏切待ちの数人の中に、抱っこひもで赤ちゃんを抱っこしているおじいちゃんがいました。
その姿を見たとたん、義父の姿と重なり視界がボッと曇ってしまいました。私の子育てのころ、抱っこひもはまだ少なく、義父は腰痛のある義母に代わって、よくおんぶひもでおぶってくれていました。
夕方、義母は夕食の支度をしてくれ、定年後の義父は駅の改札や踏切まで、赤ちゃんをおんぶや抱っこしてきて、勤め帰りの私を待っていてくれたものです。
踏切が開き、赤ちゃんを抱いた男性は渡っていきました。
東京のお盆は今月です。感謝を込めて迎えます。

 


・イラスト/いなだ 牧子

著者・並木 きょう子/東京都在住。フリーライター。人の生き方を独特の視点で描く人物ルポ、軽妙なエッセイ執筆。著書にエッセイ「ごちゃまぜ同居行進曲/主婦の友社刊(テレビドラマ化)」「300字の小さな幸せレシピ/アップオン刊」ほか多数。
ⒸKyoko Namiki,Makiko Inada&upon factory 
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※新しいエッセイは毎週月曜日に掲載します。
※8月23日号 長男が、大人の背丈になったとき
※8月30日号 食卓を片付けながら
※9月  6日号 庭のブドウの樹
※9月13日号 ある年の初秋、結婚披露宴で
※9月20日号 「お月さま」に祈ります
※9月27日号 「この枝を切ります」
※10月4日号 多摩川の鉄橋で
※10月11日号〝新米の力〟
※10月18日号 今夜の君は美しい!
※10月25日号 〝湯気マジック〟
※11月 1日号 日本のお母さんの手
※11月 8日号   紅葉を楽しみに
※11月15日号 花の〝花道〟
※11月29日号   ボージョレ・ヌーボーの季節
※12月  6日号   年の瀬に向かって
※12月13日号 母の口紅
※12月20日号 おつき合いは、シンプルに
※12月27日号 急なお客さまに…
※ 1月 3日号 新年の抱負
※ 1月10日号 名前で呼んでください
※ 1月17日号 義姉のピアノ
※ 1月24日号 日本の雪
※ 1月31日号 全員が、天ぷらうどん
※ 2月 7日号 バレンタインデーの季節です
※ 2月14日号 瀬戸の夕焼け
※2月21日号  あたりまえの毎日が……
※2月28日号  ひな祭りの前夜
※3月 7日号 東日本大震災から、11年です
※3月14日号 山菜から春は香って
※3月21日号 祖母は51歳
※3月28日号 新しい日に向かって
4月4日号 桜の花に「ありがとう」
※4月11日号 あたりまえに、前向きに
※4月18日号 片手鍋のボランティアさん
※4月25日号 笑います、笑わせます
※5月2日号 「母の日」のデパートの売り場で
※5月 9日号 花好きの、姉たち
※5月16日号 新茶はいかがですか?
※5月23日号 私たちのベンチ
※5月30日号 北海道の味の〝おもてなし〟
※6月 6日号 雨の日も幸せ
※6月13日号 『父の日」に思うこと
※6月20日号 梅酒に乾杯!
※6月27日号 おはじきの夜
※7月 4日号 10分間の〝七夕〟 
※7月11日号 沖縄の味に、出合って