ろう者と聴者の協働による先進的な舞台
 

東京都では、障がいの有無や言語・文化の違いを超えて「誰もが芸術文化を楽しめる東京」を目指すキャンペーン「オールウェルカムTOKYO」を実施しています。本キャンペーン実施期間の11月末に実施される、東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京、国立大学法人東京藝術大学が手掛ける舞台公演「黙るな 動け 呼吸しろ」。本作は世界陸上・デフリンピック東京大会の文化プログラムとして2023年から制作されており、言葉や文化の異なるメンバーが協力して創作しています。
稽古の様子を取材させていただきました。

満員の乗り物の中の乗客たち

このコミカルな動きは何のシーンなんだろうか?


 ストーリー

霧に囲まれた移動都市《霧のまち》では、音の概念がなく、身体を使った独自の言語と文化が根付いていた。ある建国記念日の式典の日、霧を抜けて他のまちから一人の男が訪れる。男は「オンガク」に興味を惹かれ、住人3人と交流を深め、このまちで暮らすようになる。2年後、男は3人を「もうひとつのまち」《百層》に招待する。《百層》は音声言語を使い、音文化が発達した超高層都市だが、騒音問題も深刻で静寂が求められていた。滞在中、3人はいろいろな住人と出会い、新たな経験を重ねながら、やがてコンサートに参加することになる..…

演出の説明を聞く役者たち1
演出の説明を聞く役者たち2
ラッパのような物でおしゃべりをする演技をする役者たち1
ラッパのような物でおしゃべりをする演技をする役者たち2

稽古の様子

10 月中旬から両者合同での稽古が始まりました。稽古では、それぞれのチームがどのように準備を進めてきたのか、本番に向けてどのように作品を立ち上げていくのか、創作の一端を垣間見る貴重な機会となりました。
伸び縮みするラッパのような小道具は、コミュニケーションをとるのに使っているようです。耳の聞こえないろう者は、聴者のタップ音に合わせている動きにシンクロさせているようでした。

ラッパのような物でおしゃべりをする演技をする役者たち3
しゃべっている声をラッパのようなもので聞いている人たちの演技をする役者たち
大人数で固まる役者たち
満員乗車の場面の演技の説明を演出の方から聞く役者たち

稽古を見て

これまでは、ろう者と聴者のキャストが別々に稽古を重ねてきました。それぞれ分けることで、ろう者たちが自分らしく稽古できる環境を作ったそうです。聴者の方で手話ができる方はほとんどいないとのことで、本番にいたるまでの過程こそが大切なプロジェクトになっているそうです。出演者はもちろん観客にいたるまで、互いにわかり合おうとする気持ちで物語の世界を体感してみてください。本番がどうなることか楽しみで仕方ないです。(小川 陽一)

稽古を見せていただきましたが、物語に惹き込まれ、面白かったです。 音がない場面と音がある場面のコントラストに興味深いもの がありました。 本番が楽しみです! みなさんもぜひこの世界を体感してみてください。(佳山 明)

 

文:小川・佳山 写真:小川


ろう者と聴者が遭遇する舞台作品「黙るな 動け 呼吸しろ」公式サイト

ろう者と聴者の協働による先進的な舞台 出演者募集は終了しました バックステージ
「黙るな動け呼吸しろ」チケット 締切ました。キャンセル待ち