「寒いのは苦手、着込むのも苦手…」という車いすユーザーは多いと思います。車いすユーザーにとって冬の外出はなかなか高いハードルを感じるものなのではないでしょうか。この記事では、車いすユーザーが実践している「冬の寒さ対策」や、あると便利な寒さ対策グッズを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。


<目次>

  1. 車いすユーザーは寒さに弱い。その理由は?
  2. 車いすユーザーが実践している「寒さ対策」3選
  3. 当事者おすすめの「寒さ対策グッズ」

【車いすユーザーは寒さに弱い。その理由は?】


ゆきだるまの写真 冬の寒さをイメージ

「寒いのが苦手」という車いすユーザーは多いです。まずは、車いすユーザーが「寒さに弱い」理由について触れておきましょう。理由を知ることで、対処法への理解が深まります。車いすユーザーが寒さに弱い主な理由は以下の3つです。


  1. 血流の低下
  2. 座位という体勢
  3. 着込むのが苦手

それぞれに関して詳しく説明していきます。

1.血流の低下

車いすユーザーは、下肢の筋力が低下している方や、運動量が少ない方が多いです。足を動かす機会が少ないと、筋肉によるポンプ作用が弱くなり、血流が低下し、冷えを感じやすくなります。

2.座位という体勢

冷気は下にたまる特徴があります。座位の車いすユーザーは、立位の大人と比べると、冷たい空気の影響を受けやすいです。また、座位はどうしても風による影響を受けやすいです。風速1mにつき体感温度が1℃変わるというように、風の強い冬の日は特に寒さを感じやすくなります。

3.着込むのが苦手

着込むのが苦手という車いすユーザーは多いです。その理由としては、着込むと動きにくくなるという意見や着る動作自体が負担という意見が挙げられます。寒くても必要な量着込めないことが車いすユーザーが冷えやすい理由の一つです。

その他にも、脊髄損傷などで体温調節機能がうまく働きにくいケースや、車いすを漕ぐ際に触れる金属のフレームから冷えを感じるケースなどもあります。では、次の段落で車椅子ユーザーが実践している寒さ対策を紹介していきましょう。


車いすユーザーが実践している「寒さ対策」3選


マフラーや手袋など防寒グッズの写真

車いすユーザーが実践している「寒さ対策」を3つ紹介します。


  1. 発熱吸湿素材インナーを重ね着する
  2. 「3つの首」を温める
  3. ホッカイロを使用する

1. 発熱吸湿素材インナーを重ね着する

冬の寒さ対策として、車いすユーザーの多くが実践しているのが、株式会社ユニクロのヒートテックなどに代表される「発熱吸湿素材インナーの重ね着」です。発熱吸湿素材とは、体から発散した水蒸気を吸収して発熱し、繊維と繊維の間にある空気の層に熱をためる素材のことで、軽くて薄いという特徴もあります。

株式会社ユニクロの実験では、ヒートテックは重ね着をすると、衣類の熱抵抗を表すCLO値が約2.2倍になるという結果がでています。重ね着をする際は、ワンサイズ大きいものを上に着るのがポイント。インナーの間に「空気の層」ができ、温かさが保たれます。

2.「3つの首」を温める

車いすユーザーは、効率よく体を温めるために、首・手首・足首、「3つの首」を意識している方が多いです。この3か所は皮膚が薄く、太い血管が通っているため、温めると全身の血流がよくなり、体全体がポカポカします。それぞれの温め方のポイントを説明します。

・首を温める

首を温めるには、ネックウォーマー、ハイネックの衣類、マフラーなどがおすすめです。ただし、長いマフラーは車いすの車輪に絡まる恐れがあるのでコートの中に入れるなどの対策をする必要があります。

・手首を温める

手首を温めるには、アームウォーマーや手袋を使用するのがいいでしょう。少し値がはりますが乗馬用の本革の手袋がおすすめです。風を通さない、丈夫なのはもちろん、手綱を握るためのすべり止めが、車いすをこぐ際のグリップになります。

・足首を温める

車いすユーザーが最も悩んでいるのが足の冷えだと思います。足首を温める方法をいくつか紹介しますので自分に合ったものを探してみるといいでしょう。

【靴下を重ねる】靴下を重ね履きしている車いすユーザーは多いです。ポイントとしては締め付けすぎない靴下を選ぶこと。1枚目を吸湿性の高いシルクが入った靴下にするのがおすすめです。

【ひざ掛けを使用する】ひざ掛けの使用もおすすめです。さまざまなものが売られていますが、「フリース」「裏ボア」「風防加工」などの素材を選ぶと効果が高いでしょう。通常のひざかけだと車輪に巻き込む可能性があるため、車いす専用のものを選ぶと安心です。

【ムートンブーツ】ムートンブーツは内側の羊毛が空気を含んで暖かさを保ち、足先をしっかり包み込むため冷え対策に効果的です。吸湿性も高く、蒸れにくいのもメリット。履き口が広いものを選ぶと履きやすいでしょう。

3.ホッカイロを使用する

貼る、貼らないを問わずホッカイロを愛用している車いすユーザーは多いです。貼るホッカイロを使用する際は、首、肩甲骨の間、おへその下、腰、足首など太い血管やツボがある部分を温めるといいでしょう。なおホッカイロを使用する際は、低温やけど防止のために、肌に直接貼らず、長時間の連続使用を避けることが大切。ちなみに、カイロは揉むと逆に発熱しにくくなってしまうので、数回振るだけでOKです。

~番外編~寒さ対策の番外編として、「とにかく動き回って体をあたためる!」という車いすユーザーもいました。


3.当事者おすすめの「寒さ対策グッズ」


最後に、車いすユーザーのおすすめのアイテムを2つ紹介します!

1.ハンドウォーマー2.0 LE701【Gamakatsu】

電動車いすユーザーは、スティックを握っている手が冷えて悩んでいる方もいると思います。そんな方におすすめなのがGamakatsuのハンドウォーマー2.0 LE701です。裏ボアのグローブで、手のひら部分が露出しているのが特徴。手の甲部分には使い捨てカイロ用のポケットがついており、電動車いすの操縦の手をしっかり温めてくれるでしょう。

ハンドウォーマー装着時の写真
ハンドウォーマーの写真

商品HP

2.ハイパーブランケットくるみちゃん【NPO法人FFP】

冬に1枚あると安心なのが車いす用ひざ掛け。いろいろと種類はありますが、車いすユーザーならではのアイデアが詰まったのがNPO法人FFPのハイパーブランケットくるみちゃんです。くるみちゃんの特徴は、ずり落ちないためのソフトベルト、手をいれてあたためられるポケット。さらに、ふくらはぎをくるむデザインになっているので風を通さず、キャスター(前輪)にも絡まりません。色柄はシーズンごとに更新されるので、おしゃれも楽しめます。

 

ハイパーブランケットくるみちゃんの写真

商品HP


まとめ


冬の外出は苦手という車いすユーザーは多いでしょう。重ね着やひざ掛けなどの基本はもちろん、防風グッズなどを取り入れることで、冷えによる負担を大きく減らすことができます。自分の体に合う対策を見つけながら、冬でも安心してお出かけを楽しんでください。温かく、快適に、そして無理をせずに冬を乗り切りましょう。