12月6日に高田馬場の日本点字図書館で、主に視覚障がいのある方を対象としたクリスマスゲーム会が行われました。日本のボードゲーム界の第一人者として知られる草場純先生のご指導のもと、「見える人」も「見えない人」も一緒になって大いに盛り上がったイベントの様子をご紹介します。


目次


点字図書館のゲーム会について

日本点字図書館では、偶数月の第一土曜日に「日点・ゲームを楽しむ会」を開いています。ここでは、点字付きのカードを使うゲームや、声だけで楽しむゲームなど、視覚に頼らず参加できるボードゲームを楽しむことができます。12月には、その拡大版としてクリスマス会が催され、今年で37回目となりました。毎年、日本玩具協会様のご協力により、たくさんのおもちゃがプレゼントされています。

会場には6つのテーブルに各6人ほど、さらに部屋の周りに見学者も10人以上見える

たくさんの方が参加してくださいました。

テーブルの上にはルービックキューブやおままごと用のおもちゃ、アンパンマンのグッズなどが並んでいる

これ全部プレゼントのおもちゃです。

主催の草場純先生は、日本のボードゲーム界の有名人であり、ゲームマーケットの創始者でもあります。

マイクで話す草場先生

会場には、プレゼント用のおもちゃのほか、障がいのある子も一緒に遊ぶことができる「共遊玩具」が展示されていました。
共遊玩具には、目が見えない子でも遊べる「盲導犬マーク」、耳が聞こえない子でも遊べる「うさぎマーク」が表示されています。障がいのあるお子さんにおもちゃをプレゼントするときの参考にしてください。

うさぎマークの説明。音だけでなく、光や動きで楽しめるようにしたり、消し忘れを防ぐオートオフ機能を付けるなどの工夫がされている
盲導犬マークの説明。電池の入れ替え方やスイッチのONを触って分かるようにする、色の区別を手触りで識別できるようにするなどの工夫がされている

オセロの表面には模様があり、白か黒か触って区別できるようになっています

パズルピースの形と、付いている点字で日本地図が覚えられます

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ゲームその1 アップダウン

最初に行ったのは「アップダウン」というゲームです。こちらは草場先生の弟子である大沼さんが考案したゲームで、以前は「アップんダウン」という名前でしたが、リニューアルにあたって名前を変更したそうです。
1~100の数字が書かれたカードを各自5枚ずつ持ち、自分の番になったら、場に出ているカードより大きい数字、または一の位が同じ数字のカードを出していきます。
カードを出せなくなった人から脱落し、最後の一人になるまで続きます。シンプルなルールですが、手番を操作するカードも入っており、予想できない展開が面白さのポイントです。

カードを持つ参加者。カードの左上と右下に点字が打たれている。

今回使ったカードには点字が打ってあり、触って分かるようになっています。

ルーペを使ってカードを見る参加者

ルーペを使う弱視の方もいます。

テーブルの手前には、手で触って点字を読んでいる子が二人、テーブルの向こうには目で見てカードを出している子が二人いる

見える子も見えない子も、一緒に楽しんでいます。

アップダウンはビバリーからかわいらしい絵柄のリニューアル版が発売中です。
アップダウンの商品紹介

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ゲームその2 スウープ(SWOOP)

次に行ったのは「スウープ」というゲームです。トランプを何セットか用意すれば遊ぶことができますので、皆さんもぜひ試してみてください。

スウープのプレイ風景
  1. 各自18枚のカードを受け取り、自分の前に4枚は見ずに伏せ、その上に4枚を表向きにして重ねます。
  2. 残りの10枚を手札として持ち、自分の番が来たら、手札または自分の前のカードの上から1枚(同じ数字の場合は複数枚でも可)を出します。
  3. このとき、直前に出たカードより大きい数字を出した場合は、場に出ているカードを全て回収し、手札とします。カードをすべて出し切ったら勝ちなので、なるべく回収は避けたいところです。
  4. ジョーカーまたは10のカードを出した場合、「スウープ」といって場に出ているカードをすべて除外してリセットし、さらにもう一枚出すことができます。また、同じ数字が場に4枚出た時も同様にスウープとなります。
  5. 最初に伏せた4枚は、先に上のカードを出してからでないと出せないうえ、数字を見ずに出さなければいけない危険なカードです。なるべく場に出ているカードが少ないときに出しましょう。
  6. 誰かが手札と自分の前のカードを全て出し切ったらゲーム終了です。他の人は残ったカードを、1~9は-5点、11~13は-10点、10とジョーカーは-50点としてカウントします。
カードを置くためのボードを触って確かめる参加者

見えない方のために、4枚のカードを置くためのボードが用意されています。
草場先生「これをね、点字図書館の方に作れって言って。いや、実際にはそんなに乱暴に言ってませんよ。」

ある参加者の手札には、ジョーカーと10が入っている

10やジョーカーはピンチを回避できる強力なカードですが、誰かが上がる前に使い切らないと、大きなペナルティを負ってしまいます。

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ゲームその3 ブール

最後に「ブール」というゲームを行いました。ブールはルーレットのもとになったゲームで、数字が1~9だけのシンプルなものです。各数字単体に賭けて的中すると7倍の払い戻し、小さい数字(1234)、大きい数字(6789)、偶数(2468)、5以外の奇数(1379)のどれかに賭けて的中すると2倍の払い戻しとなります。

段ボールで作られたボードはチップを置く各エリアに区切られている

このボードに賭けチップを置いていきます。ボードには点字のシールが貼ってあり、事前に位置関係を覚えてもらいます。

黒いお盆の中心にくぼみがたくさんついた円盤状のパーツがある

このブール盤にボールを投げ入れ、止まった位置の数字を読み上げます。この形のものは日本にこれだけとのこと。

ボードの上に様々な色のチップが載っている

参加者は思い思いに賭けていきます。1234にすごい量のチップを乗せている人がいますね。

ボールが5に止まったブール盤

5に止まると、単体の5に賭けた人以外は全部没収となります。2回連続で5に止まり、会場は阿鼻叫喚に包まれました。

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3つのゲームを終え、得点の集計を行います。
結果発表と景品のおもちゃの授与、そして今回参加してくださった方へのインタビューは、次の記事でご紹介します。

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写真:吉田純一・ノア 文:ノア