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シリーズ
超高齢化社会における
歯科とバリアフリー
(第4回目)

第4回目

車いすで快適なうがいを

 

 今回は、「うがい」をテーマに述べていこうと思う。歯科治療では様々なシーンで、患者がうがいをすることがある。治療の後に最後に行う口ゆすぎだけでなく、虫歯治療で歯を削る、歯石除去をする、などの診療の合間にうがいをするタイミングがある。

特にコロナ禍になってからは、診療前にうがいをする歯科医院も増えたのではないだろうか。当院歯科では感染予防対策の一環として、診療前には消毒薬を入れた水で患者にうがいをしてもらっている。
このように歯科の臨床現場では不可欠なうがいだが、車いすユーザーでも診療台に座ることができれば、基本的に手などに問題がなければ不自由なくうがいできる。

しかし、治療内容によって車いすに乗ったまま処置することもあるが、うがいをする際にうまく吐き出さないと、こぼれて衣服が濡れてしまう可能性もある。


そこで役に立つのが、「ガーグルベースン」である(写真)。


これは医療や介護の現場でよく使用される受け皿で、様々なメーカーの商品があるが、基本的な形状として三日月型に湾曲しているため、ふちの曲線が頬に密着しやすく、水をこぼしにくい特徴がある。

また、ある程度の深さがあるので吐いた水が飛び散りにくく、主にプラスチック製で軽量なので、握力が弱い高齢者や小児にも使いやすくなっている。
当院でも患者がベッド上で座ってうがいする際、看護師などが補助しながらガーグルベースンを使用している。

ところで、車いすユーザーからよく聞くうがいの悩みとして「家の洗面台には車いすで近付けないので、うがいに困っている」というのがある。
自宅を介護リフォームする際には、車いすでもうがいしやすいように、洗面台の下に車いすの下半身が入る余裕のあるスペースがあり、高さも高くなり過ぎないような配慮が必要である。

歯磨きの後に、殺菌効果のあるうがい薬で口の中をブクブク消毒するのは虫歯や歯周病の予防に効果的だ。お口の健康維持のためにも、車いすでうがいのしやすい環境に整えるようにしたい。
 

文/島谷 浩幸
医療法人 恵泉会 堺平成病院 歯科科長
https://sakaiheisei.jp/

 

■シリーズ■
第1回目 バリアフリー歯科医院の盲点レントゲン撮影できますか?
第2回目 車いす対応診療台が役立っています
第3回目  バリアフリー歯ブラシとは?


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